「この独自休暇をありがたく感じていました」

Bさんによれば、この休暇はこんな呼び名で教員らの間では認識されていたのだという。

「A校長はこの休暇のことを『マルモク』とか『黙』と呼んでいました。校長が言うことだから認められたものだと、私ら職員は何ら疑問も持たずにいました。

A校長は全教員がまんべんなく休みを取れるように勤怠を組んでくれていました。ふだんは平日や土日も家に仕事を持ち帰ることもあるためほとんど休みがなく、この『黙』の3日間だけが民間企業でいうところの本当の休日に近い日でした。だからありがたく感じていました」

写真はイメージです(PhotoAC)
写真はイメージです(PhotoAC)

実際に、この処分に関する第一報が出た際は、Yahoo!ニュース記事のコメント欄には現役教師を名乗る人から、まともな休みを取らせない市教委や文科省への非難の声が殺到していた。

対して一般の人からは「こんな独自制度がまかり通るなんてひどい」「学校は独立王国か」などと校長への批判が飛び交った。勤怠の改ざん自体は許されることではない。しかしBさんは「改ざんというよりは訂正に近い感じだと思います…」と続ける。

名古屋市教委より懲戒処分を受けたA校長(写真/知人提供)
名古屋市教委より懲戒処分を受けたA校長(写真/知人提供)

「文科省の定めで、教師は決められた勤務時間以外の残業は認められていません。しかし仕事量は計り知れないほど多いのが実態です。そのため、自分の判断で『残業』をしています。私はなるべく残業せず家に仕事を持ち込むタイプです。その私ですら規定の残業時間を超えた40時間ですし、多い人だと100時間をゆうに超えます。

校長はこういった現場の状況を見て、独自に教師らで割り振りする『黙』の日を制定したのでしょう。校長をかばいたいわけではないが、怠慢とかサボる意味での休みというよりは、本来、得て当然の休みを部下に取らせるために勤怠を上手にローテーションして訂正した感覚でした」

そもそも教員はいわゆる残業代として給料月額の6%(昨年は5%)に相当する「教職調整額」を包括的に支給されており、残業時間に応じた残業代が支給される制度にはなっていない。しかし、過度な残業を強いられている教師たちの現状には、全く見合っていない制度と言えるだろう。