これほどの差がついた原因は国家の「ルールの違い」

なぜこれほどの差がついたのか。その本質は、「自由競争」と「国家ぐるみの総力戦」というルールの違いにあります。

通常の資本主義では、企業は自らのリスクで資金を調達し、失敗すれば市場から淘汰されます。しかし、中国の国家資本主義では、国が戦略的に定めた産業に対し、政府系金融機関を通じて無尽蔵ともいえる資金が注入されます。

「利益が出るか」ではなく「国家の覇権に必要か」という基準で、採算度外視の巨大投資が実行されるため、個別の民間企業で戦う西側諸国は、その規模とスピードにおいて太刀打ちができなかったのです。

特にリーマンショック時の対応は、民主主義の弱点と独裁体制の強みを世界に見せつける決定打となりました。議会での合意形成に時間を要し、対策が後手に回る民主主義国家を尻目に、中国共産党はトップダウンの即断即決で巨額マネーを動かし、危機すらも成長の燃料へと変えてみせました。

日本が構造改革の痛みを恐れ、決断を先送りにした30年間。中国はこの「意思決定の圧倒的な速さ」と「リスクを恐れぬ資源の集中」を武器に、国家そのものを巨大な企業体のように運営することで、経済戦争を勝ち抜いてきたのです。

「市場の手に委ねるだけでは、国家主導の中国には勝てない」──この冷厳な事実は、日本の政策転換における決定的なトリガーとなりました。かつて自由市場経済を主導していたアメリカもまた、変貌を遂げました。