アメリカと中国の生存をかけた衝突

そして決定的な転機となったのが、中国との覇権争いです。この覇権争いの本質は、単なる貿易の問題ではなく、「21世紀の『技術』と『軍事』の支配権」を巡る、アメリカと中国の生存をかけた構造的な衝突です。

アメリカは長年「中国が豊かになれば、いずれ民主化して西側の一員になる」と期待していましたが、習近平体制による「国家資本主義」と「軍事拡張」を見て、その期待が幻想だったと悟りました。

特に、AI、半導体、5Gといった「産業の心臓部」を中国に握られることは、アメリカの経済的優位だけでなく安全保障(軍事力)の喪失を意味します。

そのため、アメリカはなりふり構わず中国をサプライチェーンから切り離す(デカップリング)戦略に出ており、世界を二分する「新しい冷戦」の様相を呈ていしているのです。

第1期トランプ政権(17年―21年)の「貿易戦争」、続くバイデン政権(21年―25年)の「デカップリング政策」は、なりふり構わぬ産業保護政策でした。

特に22年の「CHIPS法」による半導体産業への巨額補助金は、アメリカが「市場原理主義」を捨て、「経済安全保障」の名の下に産業政策へ回帰したことを世界に宣言するものでした。

そして、第2期トランプ政権(25年―)は、この流れをさらに加速させています。バイデン政権が進めた「特定の戦略産業への補助金(CHIPS法など)」すら生ぬるいとし、全ての輸入品に対する「一律関税の導入」などを主張。

これは、もはや「経済安全保障」の枠を超え、アメリカが自由貿易体制そのものに背を向け、なりふり構わず自国市場を囲い込む「究極の保護主義」へと突き進む姿勢を鮮明にしたものと言えます。

日本、中国、アメリカ、三者の30年を俯瞰したとき、歴史の教訓は明白です。戦略なき市場任せの日本は敗れ、国家が戦略的に関与した国が覇権を握りました。

半導体シェアが50%から10%以下へ凋落した日本の姿は、その象徴です。対してアメリカは、製造こそ手放しましたが、設計・開発分野で世界シェアの約50%を握り、実質的な支配権を維持しています。そして中国は国家ファンドによる巨額投資で、わずか数年で生産能力における世界シェアを20%台まで急拡大させ、日本を抜き去りました。

そして26年、日本経済は歴史的な局面を迎えます。