10年ひきこもって得た結論「自分を捨てる」
相談に行く前に、もう一つ決めたことがある。覚悟と言い換えてもいいかもしれない。
「それまでの自分を全部捨てようと思ったんです。冷静に考えると、10年ひきこもっていたヤツの考えることなんて当てにならないはずなんですよ。だから、自分の意思をいったん全部捨てて、ゼロに戻したんです」
だが、「自分を捨ててゼロに戻す」と口で言うのは簡単だが、実行するのは相当難しい。そう指摘すると、岡田さんは覚悟を決めた理由をこう語る。
「本当に自分じゃどうにもならないところまで追い込まれたから、もうそうするしかなかったんですよ、たぶん。考えて、考えて、考えて、どん底までたどり着いて、やっと得た苦肉の策なので。
それが10年ひきこもって出た結論なんでしょうね。究極まで自己否定したら反転したみたいな感じで、なんか捨てたら楽になったんです」
自宅から近い「ねりま若者サポートステーション(自立や働くことに悩む若者と家族のための相談窓口。通称サポステ)」を訪れて、これまでの経緯をすべて話した。
できることは全部やろうと思い、プログラムを次々と受講。ビジネスマナー、ボランティア、利用者同士のお話会など、何度も通ううちに、他の利用者とも仲良くなった。
自分と同じように長くひきこもっていた人もいるし、若くても生きづらさを抱えている人もいた。
岡田さんはサポステで出会った人には、自分が10年ひきこもっていたことを隠さずに話せたという。
「本当に自分のダメな部分を普通に話せましたね。自分が吹っ切れたというのもあるんでしょうが、みんなもそうなのと普通に受け止めてくれたし、相手の方も自分の話をしてくれたんで。
もちろん、働けないことに対する劣等感はありましたよ。でも、働けていないことは事実なので、そのまま受け入れるしかない。
だから、今の自分はダメだと思っても、それが負の感情にはつながらなかったですね」


















