バフェットは「不確実性そのもの」に投資
この構図は、まさにいま起きている世界の縮図だ。資本は一様に縮小するのではない。壊れる場所と、集まる場所が同時に生まれる。
その延長線上にあるのが、ウォーレン・バフェットが長年率いたバークシャーによる東京海上との資本提携だ。
多くの人はこれを単なる日本株投資の一環として捉える。しかし本質はそこではない。保険とは何か。それは「不確実性を引き受けるビジネス」だ。戦争、災害、事故、すべてのリスクが価格に変換される場所だ。
つまりバークシャーは、これから確実に増える「不確実性そのもの」に資本を投じている。
エネルギーが揺らぎ、通貨が揺らぎ、信用が揺らぐ時代において、最も価値を持つのは「その揺れを引き受け、価格化できる主体」になる。これは単なる投資ではない。次の時代の構造に対するポジショニングだ。
戦争が“エネルギーと通貨”を壊す時代に日本人が持つべき資産
では、その延長線上にある最大の現実、すなわちホルムズ海峡封鎖という事態を前提にしたとき、我々日本人は何を持つべきなのか。
ホルムズ海峡の封鎖は、日本にとってエネルギー供給の寸断を意味する。原油やLNGの輸入が滞れば、電力、物流、食品といったあらゆるコストが連鎖的に上昇する。これは遠い中東の問題ではなく、日本の生活コストそのものの問題になる。
そのとき市場で起きるのは典型的な逆回転だ。株式は一時的に売られるが、インフレヘッジとして一部は戻る。債券はインフレによって実質価値が棄損する。通貨は「安全かどうか」ではなく「購買力を維持できるか」で選別される。
ここで多くの人が陥るのが「どの通貨が安全か」という発想だ。だがドル安と円安が同時に進む局面では、この問い自体が意味を失う。強い通貨が存在しないからだ。だから必要なのは、どれか一つを選ぶことではなく、役割ごとに分けて持つという発想になる。
円は生活通貨として持つ。守る通貨ではなく使う通貨だ。生活費や短期の支払いに必要な流動性は確保しなければならないが、過剰に持てばインフレで静かに削られる。ドルは決済通貨として持つ。価値保存ではなく、資源取引や国際金融にアクセスするための機能として持つ通貨だ。
そして第三通貨。スイスフランやシンガポールドルのように、構造的に壊れにくい通貨を組み込む。ただし重要なのは「強そうな通貨」を選ぶことではない。危機時に自国通貨を守る力があるかという国家の設計そのものを見ることだ。













