「信用は、壊れ始めている」ことを見落とすな

〈日経平均大暴落〉ホルムズ海峡封鎖で今、日本人が持つべき金融資産とは?  ヒントはバフェットの「不確実性そのもの」への投資にあった_4

現実にはこれらの通貨は持ちにくい。だから通貨そのものではなく、その国の企業や市場、あるいは通貨バスケットを通じて間接的に持つ。完全な再現ではなく、構造として近いものを組み込む。

香港ドルは第三通貨にはならない。ドルと同じ方向に動くよう設計されているからだ。ただし香港の本質は通貨ではない。資本の接続点としての機能だ。したがってこれは価値保存ではなく、資本アクセスの手段として捉えるべきだ。

ここまでで見えてくるのは、通貨とは信じるものではなく、使い分けるものだという現実だ。円かドルかではない。どの通貨も壊れる前提で役割を持たせる。

そしてもう一つ、見落としてはならないことがある。信用は、壊れ始めている。プライベートクレジットの「核の冬」、エネルギー供給の不安定化、通貨の同時劣化。これらは別々の現象ではない。一つの流れの中で起きている。

ホルムズ海峡封鎖は単なるショックでは終わらない。その歪みは一年後、確実に後遺症として現れる。エネルギー価格の上昇は時間差で生活を直撃し、通貨の価値は静かに削られ、資産格差はさらに拡大する。そのときに削られる側に回るのか、それとも構造を理解した側に立つのか。

市場の構造上、常に少数派が勝利する。誰もが同じ安全を信じた瞬間、それは安全ではなくなる。だから結論は変わらない。

どれか一つを信じるな。どれも信じない形にしておけ。そしてもう一歩踏み込むなら、不確実性そのものに値段をつけられる側に回れ。それが、この歪んだ時代を生き抜くための、数少ない選択肢だ。

具体的にはこうだ。円30%、ドル30%、第三通貨・外貨資産20%。残り20%は、金・エネルギー・保険・インフラといった“不確実性に値段をつける側”に置く。

私は今回のリバウンドでは動かない。それは流動性とショートカバーが作った反発だからだ。本格的に株を買うのは、来年以降に訪れるであろう本当の歪みの局面だ。

文/木戸次郎  写真/shutterstock