中国に対してはうまく媚びを売れていない事実
「同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有している。『戦略的互恵関係』を包括的に推進するとともに、『建設的かつ安定的な関係』を構築するという大きな方向性の下、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくために互いに努力していく」
「戦略的互恵関係」とは、価値観が違ってもお互いにお金が儲かる関係(実利)はしっかりと続けていきましょうという割り切った態度を示している。
しかし、よく考えれば現在の高市首相は、中国に対してはうまく媚びを売れていない。昨年、国会において台湾有事について、この伝統的なヘッジング戦略を踏み外すような勇み足の発言をしてしまったからだ。
この発言に対して中国は過剰に反応し、カンカンになって怒ってしまった。皮肉なことだが、こうしたことを一つとってみても、無用な波風を立てずに相手の顔色を窺うヘッジング戦略外交がいかに大切かが身に染みよう。
第三にロシアやイランなど、他の国々に対しても日本は繋がりを保とうとする。中東やロシアからエネルギー資源を買わなければ、生活が成り立たないからだ。『外交青書』(2025年版)では、こう述べている。
高市外交はしたたかに計算された生き残り術か
「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り、地域及び国際社会の平和と安定、繁栄に貢献していくことが、日本外交の責務です」
表向きは美しい言葉を並べながらも、実際にはアメリカの目を盗むようにして、独自の経済的な繋がりを持ち、資源を確保するための実利優先の外交を泥臭く行っている。
対韓国においても、高市首相は「竹島の日の記念式典に閣僚級を出席させる」という公約を破った。全員と適度に仲良くしなければ、日本は干上がってしまうからだ。
結論として日本の外交は「アメリカに従いながら、裏ではイランとも中国とも韓国とも国益のために仲良くする」という、図太く計算された生き残り術である。
しかし、私はここで一つの思いをどうしても捨てきれない。いくら外交が実利優先のヘッジング戦略で基本いいのだとしても、それに甘んじるのは、ただの「思考停止」である。
協力と競争を両立させるために曖昧な態度を取り、相手によって言うことを変える二枚舌を使っていれば、本来、馬鹿にされても仕方がないのだ。また、戦略が本質的に「曖昧」であるため、相手国や第三国が日本の意図を誤読しやすいという大きな危険もある。













