「母親と妹を殺されたくなかったら、命令を聞け!俺に服従しろ」

「その日は、2月に入院した母が退院し、半年ぶりに家に帰ってくる日でした」

和威さんは2012年、中学1年の夏の日のことを、こう振り返る。当時も毎日のように、加害者に付きまとわれる日々が続いていたが、母が退院するその日ばかりは和威さんも、加害生徒に「NO」を突き付けることを決めていたという。

「案の定、自宅まで加害者たちが押しかけてきたのですが、『行けない』と断りました。でも、加害者たちはあきらめずに、何度も何度もインターフォンを鳴らし、家にエアガンを向け始めました」

2012年10月13日の防犯カメラに残された映像。加害者たちが和威さんの自宅にエアガンを向ける姿が記録されている(写真/家族提供)
2012年10月13日の防犯カメラに残された映像。加害者たちが和威さんの自宅にエアガンを向ける姿が記録されている(写真/家族提供)
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和威さんの母も当時をこう回想する。

「私たちが、『和威は行けないから』と言っても、『なんでですか? 和威を出してください』『和威ー! 出てこい!』とすごい声で怒鳴るんです。対処に困って、学校の担任の先生に電話し、『帰宅を促してくれないか』と頼みました。

先生は自宅前まで車で来てくれましたが、車内から窓を開け『早く帰りなさい』とだけ言って帰ってしまって。結局、和威が折れて、『用事があるから行ってくる。すぐ戻る』と家を出ました」

和威さんも当時の気持ちをこう明かす。

「今度こそ、先生は助けてくれると安心したのが間違いだった。先生が帰ってしまった時の、白い車が忘れられない」

いじめを受け、急激に体重を落とした頃の和威さん(写真/家族提供)
いじめを受け、急激に体重を落とした頃の和威さん(写真/家族提供)

和威さんは待ち受けていた加害者の一人、Bの自宅へ連れていかれたという。

「家に入ると、B君は僕に包丁を向け、『お前の命は俺が握っている』『母親と妹を殺されたくなかったら、命令を聞け! 俺に服従しろ』と脅してきました。

さらに、B君は女性用のヘアスプレーと殺虫スプレーを持ってきて、僕に『どっちか選べ』と。僕がヘアスプレーを示すと、B君は僕の顔めがけて、殺虫スプレーを噴射してきました。吐き気がして、苦しくて。

でも、何よりショックだったのが、家族に危害を加えると言われたことでした。それまでも、『死ね』とか『殺す』といった言葉は浴びていましたが、殺意が家族に向けられていると知り、底知れぬ恐怖を感じました」