ドバイの富裕層は続々と国外へと避難

一方、中間層とは違う思惑で動いているのが、都心にある、富裕層向けの住宅だ。

麻布十番駅近くで三井不動産レジデンシャルが開発する大規模物件「パークコート 麻布十番東京 ザ タワー」はファミリータイプの3LDKで3億3000万円からという強気の価格設定にも関わらず、富裕層が殺到し、モデルルーム見学の予約が取りにくい状況が続いている。

都内に複数のタワマンを保有する不動産投資家のB氏は「世界基準で考えると東京都心の物件はまだ安い」と断言、絶対に買うつもりだという。

こうした状況に拍車をかけそうなのが、中東情勢の混乱だ。中東メディアのアルジャジーラは13日、ドバイの国際金融センターで爆発が起きたと報道した。負傷者はいなかったものの、ドローン攻撃を迎撃した際、破片が落下し外壁が損傷したという。

ここのところ、ドバイではイランによるドローン攻撃が連日発生しており、世界中から集まっていた富裕層は続々と国外へと避難している。

イランからの攻撃を迎撃できなかったことにより、国際金融センターとしてのドバイの威信は地に落ちつつある。トランプ政権のイラン攻撃を受け、ドバイの不動産指数(DFMREI)は約30%下落している。

世界の富裕層は我先にとドバイの不動産から資金を退避

近年、ドバイの住居用不動産市場は好調な状況が続いていた。イギリスの不動産コンサルティング会社、Savillsが1月に発表したデータによると、25年のドバイの居住用取引件数は前年比18%増の20万件を突破し、そのうち未完成物件の販売が7割以上を占めるという状況だった。

ドバイの発展に懸ける形で世界中のマネーを呼び込み、1000万ディルハム(約4億3000万円)の物件が年間7000件近く販売されるなど活況を呈していたというが、これが逆回転することになったのだ。現在、世界の富裕層は我先にとドバイの不動産から資金を退避させている。

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今後、仮にイランの攻撃が一時的にやんだとしても、ドバイの不動産をとりまく環境は厳しいだろう。近隣に攻撃能力を持った国が存在し、実際に戦火にさらされるというリスクが白日の下になったのだ。

イランの体制が転覆しない限り、いつ攻撃が再開されるかは分からない。B氏も知り合いに誘われてドバイ不動産への投資を考えていたが、「当面はリスクが大きい」と判断したという。