“北方水滸伝”の魅力的な登場人物たち
──北方謙三さんの原作小説『水滸伝』の第一巻「曙光の章」で、木村さんが演じられている史進以外に印象に残った人物はいますか。
鮑旭ですね。魯智深と出会って王進先生のところに連れてこられて、史進の次に教育を受けることになる男です。
読んでいて鮑旭にジェラシーを感じたんですよ。それも木村達成としてというより史進として。
ポジションが史進と似てるんですよね。大人を信じられなかった子どもが、梁山泊の大人たちに出会って変わっていくところが。
でも、鮑旭は悲惨な少年時代を送っていて、お金持ちの家に生まれた史進と対照的な生い立ちなんです。鮑旭は魯智深と出会ったことで、俺は人間なんだ、と初めて思えるんですよね。
──鮑旭はドラマ版には登場しませんね。ドラマでは鮑旭のエピソードが史進に生かされていると思うので、史進の中に鮑旭が生きていると言えるかも。
それはわかるんですけど、鮑旭にあって史進にないものがあって、それは旅なんです。鮑旭は魯智深と旅してから、王進先生に預けられるんですよ。僕も史進として旅をしたかった!
史進は父親の史礼がいるからという理由で、史家村を離れられないんです。王進先生についていきたかったのに。撮影でも、いまのところ、村の豪邸で稽古を受けるか、村の中で動くだけなので、いろんなところへ行ってみたいなあ、と。
──ほかの登場人物はどうですか。
好きなのは、安道全と白勝ですね。安道全は医者一筋というか、医術を施すことにしか興味がない。白勝は安道全の相棒で、安道全に命じられて医術に必要なものをなんでも盗んでくる盗人。この二人の関係がいいんですよね。
とくに囚人だった二人が、林冲とともに脱獄する過程で、林冲に友情を感じ始めるあたりはすごく印象に残っていますね。
──安道全の人間らしさがちょっとずつ垣間見えるのがいいですよね。泥棒の白勝のことをかばったり、林冲に友だって言い始めたり。
『水滸伝』を読んでいると、今まで日常生活で感じたことはあったけど、言葉として表現してこなかったことがさらっと書いてあるんですよね。言葉で表現するとそうそう、そういうことなんだよな、と納得できて面白いんです。
一巻は、『水滸伝』ってどういう物語なんだろう、これからどうなっていくんだろう、という興味で一気に読み進めることができましたね。
やっぱり小説を読んでいる時には「どうなるんだろう?」って思うんですよね。これから読む方はそうだろうし、僕も台本を先に読んではいましたけど、小説を読んでいる間はどっぷりその世界に入っているので。
一巻はいろんな登場人物が現れて、のちに活躍するメンバーが梁山泊にだんだん集まってくる。このパターン、みんな大好きなんですよね。一巻ではまだ全員集まり切れてないから、どうやって終結するのかまだまだ先が楽しみなんですけど。
史進もまだ梁山泊の仲間には加わってないし、魯智深が「あいつどうなっているかな」って気にかけているぐらいで、本当にこれから梁山泊に入っていくかわからない。『水滸伝』の一巻は、今から壮大な物語が始まるという、まさに序章ですよね。














