「回転寿司と高級寿司は違う」
大衆とは違う新次元のラーメンを
そのためには、自身がもっと料理人として成長しなければならない。チームを率い、若い料理人が「ここで働きたい」と思える土壌を作るには、学びの幅が必要だ。
「意識の高い子たちは、専門学校を出てもラーメン屋を選ばない。それは学べる枠が限られていると思われているからです。そこを変えたい」
海外展開も視野に入れるが、それは「目的ではなく手段」と強調する。ドイツやポーランドでの仕事を予定しつつ、ニューヨークのレストランで働いて経験を積みながらポップアップやラーメンのコンサルも行なうという。
「海外でカルチャーを作ってから、日本に逆輸入する形もある。日本は古くからの文化が強いので、まだ柔軟な海外で先に根付かせた方が良いかもしれないからです。でも最終的にやりたいのは、ラーメンで新しい価値観を作ることです」
ニューヨークで見た光景も印象的だった。巨大な丼を前に、会話を楽しむ客たち。次第に麺が伸びていく様子を見て、ラーメンのポーションを小さくするなど複数の選択肢を作り、ドリンクと組み合わせる体験設計を思いついた。
「ラーメンも他の料理のように、もっと長い時間で楽しめる料理にできるんじゃないかって思うんです」
ラーメンの二極化についても、独自の視点を語る。
「大衆のラーメンを否定したいわけじゃない。でも、僕らがもう一歩先に行かないと、どんなラーメンもずっと同じカテゴリーの中で比べられ続ける。そうではなくて、カテゴリーを分けるところからじゃないかなと思います。もう誰も回転寿司と高級寿司は比べないじゃないですか」
彼は「ラーメンに与えたい」と言う。
「ラーメンって、超ギバー(与える人)なんですよ。ずっと人を支えてきた。だから僕はラーメンに『ラーメンもこんな風にもなれるんだ』って思ってもらえる存在になりたい」
その言葉に、驕りはない。むしろ、敬意と覚悟がにじむ。
「このまま続けたら、見たい景色は見られない。今動かないと遅いと思ったんです」
師である飯田将太さん(飯田商店)にも真っ先に相談した。「ここに収まる球じゃねえだろ」と背中を押されたという。
「師匠には失礼かもしれない。でも、違う世界に触れたい気持ちは止められなかった」













