サヨナラ負けで「ビール30杯」をおごったおじさん
――分かります。逆に、タイガースの選手がデッドボールを当てられると、阪神ファンはまるで我が子が傷を負ったかのように、怒りを露わにする。敗戦の辛さも、皆で共有しようとしますよね。
そういえば以前、球場で、ヤクルトの村上宗隆選手にサヨナラヒットを打たれて負けた試合を観たのですが、阪神ファンのおじさんが売り子さんから「もう今日はええわ」と、ビールを30杯分ぐらい買って、周りの皆さんに「いいから、持ってってや」と呼びかけていたのが忘れられません(笑)。
――阪神ファンらしいですね。監督の采配についても、皆であれこれ想像して「こうでもない」「ああでもない」と議論したりする。
皆さんが、監督目線なんですよね。また、タイガースを「(わが)人生」と捉えたり、ふだん出場機会に恵まれない選手が活躍すると、わがことのように喜んだりする傾向も強い。
――ちなみに、采配の推理は「インファレンス効果(Inference Effect)」、選手の活躍を我が事のように喜ぶのは「チームID効果(Team Identification Effect)」と呼ぶべきもので、これらも幸福実感や「ウェルビーイング(心身共に満たされた状態)」と関係が深いんです。
え? どういうことですか?
――話すと長くなるので、詳しくは拙著をお読み下さいね(笑)。やっぱり、さばかんさんから見ても「阪神ファン」は他チームのファンと違う?
ええ。例えば読売ジャイアンツは“常勝軍団”なので、応援する方々にもちょっと余裕がある印象です。でも阪神ファンは、長い暗黒時代など「うまくいく(優勝する)とは限らない歴史」を知っている人が多い。だからこそ、「常に、真剣に応援しなければ」とのめり込みやすいのではないでしょうか。(#3へつづく)
構成/牛窪恵














