現在、摂取できる塩分は1日7グラム

また、肝硬変を患ったことで1日に摂取できる塩分は7グラムまでと決められている。おおよそ小さじ1杯という少量だ。

「普通の食生活をしていたら絶対に超えてしまうので、そこはかなり気をつけてます。食事はほとんど自炊ですが、どれもすごく薄味。旦那にも同じものを出しているので、好みで醤油をかけてもらってます。

ゴルフで汗かいても塩分は摂れないので、どうしても足がつっちゃいますね。そういうときはミネラルで補ったりと工夫が必要なんです」

いくら生活に気をつけても、以前のような体に戻れるものではない。それくらい病気は恐ろしい。それでもブルさんは「病気になってよかった」と繰り返す。

ブルさんの術後メシを支えた武蔵小山の「かおちゃん家deめしくい亭」にて。「酔っぱらった人を親の気持ちで見守れるようになった。なんか辛いことがあったんだろうなーって(笑)」(ブル中野さん)
ブルさんの術後メシを支えた武蔵小山の「かおちゃん家deめしくい亭」にて。「酔っぱらった人を親の気持ちで見守れるようになった。なんか辛いことがあったんだろうなーって(笑)」(ブル中野さん)
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「病気になったことで自分を見直すいい機会になったと思います。

食べることだって、以前は会話をせずに体を大きくするためだけに食べていたけど、食事ってじつはコミュニケーションの場なんですよね。ビジネスにおいても食事を通じてすべてがつながることもありますし。そのことに胃を切除するまで気がつきませんでした」

また、病気を経て死生観についても大きな変化があったという。

「プロレスだったりゴルフだったり、昔から好きなことだけをやってきたので『いつ死んでもいい』と思ってましたが、肝硬変になって死を意識したときに、初めて『死にたくない』と思ったんです。

それまでは家族や仲間、ファンのためにと思って生きてきた。でも、実はそれってすべて自分の健康ありき。私が元気じゃなければ、みんなのためにならない。だから自分自身も守るべき大切な存在であることに気づいたんです」

「胃のスリーブ手術」と「アルコール性肝硬変」というふたつの大きな転機で、ブルさんは食べること、生きることの喜びを再認識した。健康に越したことはないが、前向きに病気と向き合うという気持ちもまた、生きるうえで大事だと彼女が証明している。

取材・文/武松佑季
撮影/下城英悟