「極悪同盟」のあの仲間が食の恩人に
しかし、スリーブ手術の前後で味覚が大きく変わり、大好きだったものの一部が食べられなくなってしまった。
「味覚が変わる原因はよくわかっていないそうですが、私の場合は大好きだったアジが生臭く感じて体が受け付けなくなってしまいました。
そんな私に再びアジのおいしさを教えてくれたのが、『めしくい亭』さんです」
武蔵小山駅から徒歩3分にある「かおちゃん家 de めしくぃ亭」は、ブルさんと同じくヒールユニット「極悪同盟」のメンバーだった影かほる(本名、田口かほる)さんが店主を務める、当時のレスラー仲間もよく通うアットホームな居酒屋だ。
「どのお店でもアジが食べられなかったのに、かおちゃん(田口かほるさん)に相談したら『じゃあ酢で締めてあげるよ』って出してくれて、それが食べられたんです。
一番好きだったものがまたおいしく食べられたことが本当にうれしかったのを覚えています」
質重視の食生活になったブルさんも「めしくい亭」に対する信頼は厚い。
「アジも一本釣りしているものを使ってますし、新鮮な食材を丁寧に調理してくれるから、今の私でも安心して食べられます。かおちゃんは現役時代から料理が本当に上手だったことも知ってますしね」
かほるさんも食に関してこう持論を述べる。
「食べたり飲んだりって幸せホルモンが分泌されるんです。ケンカ中の夫婦だっておいしいものを食べれば笑うでしょ?
おいしいものを食べるってそれだけで心と体にいい。だから、ケンカ中のご夫婦も大歓迎です(笑)」
胃を切除してレスラー時代とは真逆の食生活を送るブルさん。それでも「食に関する幸せは病気にならないと気づけなかった」と胸を張るのだった。
後編では、手術後、アルコール性肝硬変となって禁酒に至ったエピソードを聞く。
取材・文/武松佑季
撮影/下城英悟














