量より質に変化した食生活
一方で、満足に食事ができないことへのストレスは、思いのほか少なかった。
「実際に食べたいけど食べられなくて鬱になる人もいるなか、私は大丈夫でした。先生からは食べられるなら食べたほうがいいと言われていましたが、吐くのはイヤ。そうやって食べないでいたら空腹感に慣れて、そのうち空腹を感じなくなっていって。
栄養補給はサプリとプロテインがメイン。術後半年でようやく豆腐やゼリーなどの半固形物を食べられるようになりました。一人前の食事をやっと食べられたのが手術してから9年後だったと思います」
そのような生活をしていけば必然、体重は減る。1年間で40キロの減量に成功し、現在もその体重はキープしているそうで、ブルさんは「体重50キロ台は小学生以来です」と笑う。
今では空腹を感じるようになったというが、“食べる順番”には大きな変化があったという。
「いまだに食べられる量は圧倒的に少ない。だからお医者さんにはタンパク質などを多く含んだ栄養価の高い魚や肉を最初に食べて、できればその後に糖質。サラダなど野菜は最後、むしろ食べなくても大丈夫と指導されました。
一般的に野菜は摂ったほうがいいですが、私の場合、それでお腹いっぱいになってしまったら本末転倒。この小さくなった胃で効率よく栄養を摂取するには主食を優先して、野菜で得られる栄養はサプリなどで補うほうがいいんです」
現役時代から引退後も暴飲暴食、目の前に出されたものをとにかく食べるといった生活を送ってきたブルさんだったが、胃を9割失って、食生活は量より質へと変化していった。
「若い頃は栄養を考えず、ただ体を大きくするため、お腹いっぱいになるためにがむしゃらに食べてました。今は58歳という年齢に合った、質のいいものを少しずつおいしく食べる食生活ができていて、自分でもかっこいいと感じています。
防腐剤など余計な添加物が入っている食品や、ホルモン剤が使われている牛肉などは今じゃ絶対に口にしません。引退後、プロゴルファーに挑戦する過程でダイエットをして栄養学やカロリーについて知識はありましたが、スリーブ手術によって食の質について詳しく調べるようになりましたね」














