最新作は「芸能界」が舞台に。16年以上寝かせた題材

『Talent―タレント―』5話より。左から順に物語の主人公・柘植、麻生、華蓮、ミコト。4人は気鋭の若手俳優。ドラマ共演で出会う(©︎よしながふみ/集英社)
『Talent―タレント―』5話より。左から順に物語の主人公・柘植、麻生、華蓮、ミコト。4人は気鋭の若手俳優。ドラマ共演で出会う(©︎よしながふみ/集英社)
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—なぜ今、芸能界を舞台に「才能」をテーマとして選ばれたのでしょうか。近年の推し活ブームの影響があったりしますか?

よしながふみ(以下、同) 世の中の流れは関係なく、私がドラマ好きだったのと、担当の方がファッション誌の編集経験がある方だったので、芸能界に詳しいと思って(笑)。16年ほど前に声をかけてもらっていたのですが、『大奥』『きのう何食べた?』の連載があったので待っていただいていました。

「才能」をテーマに選んだのは、マンガ家という職が日々才能と向き合わされる仕事だからです。私は幼い頃からマンガばかり読んできましたが、読者としても作家さんを1作品で評価するのは難しい。何作品も重なってようやく作家性が見えてくる。そう考えると、「続けられること」そのものも才能のように思えるんですね。

芸能界は、その不確かさが極端なかたちで現れる場所だと思います。勝敗や数字で評価されるわけではなく、とても曖昧。「スター性」に明確な答えはありません。個人の力だけではなく、事務所の力やタイミング、周囲の事情も複雑に絡み合う。

例えば実写作品の場合、原作者が希望する配役があったとしても、キャスティングは事務所のバランスやタレントさんのスケジュール等々いろいろな事情が考慮されて決まります。そういったことも含めて描いてみたら面白いなと思いました。

—主人公が男女4人になったのは「さまざまな才能を描くため」ですか?

はい。当初は男性2人でいこうと思っていたんですが、それだと幅が狭くなる気がして。4人ぐらいいないと、自分が読みたい「才能」の全部が入らない。あとは『大奥』(女性が将軍を継ぐ設定)で14代将軍・家茂と和宮の「女の子同士の信頼関係」を描く楽しさに気がついたのもあります(笑)。

『Talent―タレント―』5話より(©︎よしながふみ/集英社)
『Talent―タレント―』5話より(©︎よしながふみ/集英社)