年収200万円、身銭を切ってもマッチングアプリをする男

【漫画】『婚マン 独りで死ぬのはイヤだ』を読む

――中川さんの漫画『婚マン』でマッチングアプリをしていく中で、「“子作り”に一緒に取り組んでくれるような若い女性と結婚できる確率は“0%”だと気づいた」(第6話より)とお話しされていました。それでも中川さんが「結婚」にこだわる理由はなんなのでしょうか?

『婚マン』作者の中川学氏
『婚マン』作者の中川学氏
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中川学(以下同) 結婚して、家族というグループに所属して、安心したいのだと思います。

僕は、今までの人生、“所属”に失敗してきました。

僕が小学生の頃は、ちょうどファミコンが流行っていたのですが、そのブームによって、放課後、誰かの家に集まり、“代わりばんこにプレイする”というファミコン友達グループが、クラスのあちこちにできました。

でも、僕はどのグループにも所属しませんでした。友達がゲームをする様子をただ見守る時間が、不毛に思えて耐えられなかったからです。

ファミコン友達グループに所属しなかったことによるのか、親しい友達ができないまま中学生になりました。僕は「仲良しグループを作って所属して、自分の居場所を確保したい。」と思いました。しかし、うまくいきませんでした。

なので、全然やりたくなかったけど、野球部に入りました。所属先を無理やり決めたんです。でも、自分の居場所という感じではありませんでした。

高校生のときも同じように「つらい」イメージしかなかったのに陸上部に入りました。何かに所属していないと不安だったんです。

大学に入ってからは数学研究室の一員だったのですが、ここでも馴染めず…当時はひとりで映画ばかり観ていました。

大学卒業後は学校の先生になったのですが、そこでも職場に馴染めずに失踪して、そこから流れに流れて漫画家という無所属の人になって、今に至ります。

――漫画家を目指す中では「トキワ荘プロジェクト」に参加し、シェアハウスの暮らしも経験されていましたよね? そこでの“所属”というのはどうでしたか?

ああ、それがありましたね! そのときは楽しかったです。初めて自分の居場所ができた感じはありました。みんな、トキワ荘プロジェクトに参加・所属はしているけど、創作などの活動自体はそれぞれ個々でしていました。

「シェアハウスに一緒に住んでるだけ」みたいなゆるいつながりがよかったのかもしれません。あと、「漫画家になる」という共通の目標があったことはとても大きいですね。

その後、シェアハウスから出て一人暮らしを始めて、やっぱり一人は気楽でいいなと思った一方で、なんかちょっとこのまま無所属でいいのか……結婚して家族という族、トライブに所属したいかも、と、うすぼんやりと考えていた時にコロナになって……という感じでしょうか。