負担増になる人の割合は・・・高額療養費制度見直し案
1月23日に高市早苗首相が衆議院を解散。予算委員会は先送りとなり、2月8日の投開票に向けた選挙戦が始まった。その結果、我々選挙民は、厚労省が昨年末に提示した高額療養費制度見直し案に様々な立場を取る候補者と政党を選んで票を投じることになった。
そこで、この週末に迫った衆議院選挙で各政党が見直し案に対してどのような立場をとっているのかということを、各党の公約やマニフェストなどから読み解いてみたい。
とはいえ、政党や候補者の見直し案に対するスタンスを判断するためにも、まずは有権者である我々自身がこの案の効果と弊害をある程度理解しておく必要があるだろう。
というのも、今回の見直し案は従来制度や前回の凍結案以上に複雑で、長所と短所が入り組んでいるように見えるからだ。
たとえば、新たに導入される年間上限額という支払いキャップシステムは、それまでなら制度の網目からこぼれ落ちていた人々を救済する効果を期待できそうだ。
だが、そもそも1ヶ月当たりの自己負担上限額は全体的に引き上げられる予定になっており、収入区分によっては現行制度よりも最大で約37.8パーセント増になる。
このように、長所と短所が複雑に絡まっているように見える見直し案によって、どのような人々の負担が軽減され、あるいはどのような人々はさらに負担が重くなるのか。その効果と弊害の度合いは、専門家による最新の研究成果でかなり明らかになってきたので、まずはそれを紹介するところからはじめよう。
たとえば、東京大学大学院五十嵐中(あたる)特任准教授が健保組合のデータ(7万8497人)をもとに行った推計[図1]では、影響を受ける人々の割合が明瞭に示されている。
それによると、高所得層や中所得層では80~90パーセントの人々が負担増になり、住民税非課税の人々は40パーセント近くが負担軽減になる(それでも、この層でも負担増になる人が50パーセント以上と多数を占める)。
全体で見ると、制度利用者の圧倒的多数が今回の見直しにより負担増になる、と言って差し支えない。そもそも自己負担上限額が全体的に引き上げられる予定になっているのだから、このような結果になるのはある意味で、当然ともいえる。
この推計は大企業従業員などが多い健保組合のデータをもとにしているため、母集団の収入が多少高めに出ているであろうことを考慮すると、中小企業従業員が多い協会けんぽやフリーランス・自営業者が加入する国保のデータだと、上記グラフの区分ウやエに該当する人がおそらくもっと増えると思われる。
それらの区分では健保組合データでも80パーセント以上の人々が負担増になる、という推計が出ている以上、協会けんぽでも国保でも数値にさほど大きな変化はなさそうに思える。つまり、今回の見直し案によって、高額療養費の利用者は収入区分や健康保険の種類にかかわらず、ほぼ一様に負担が増える、という結論に変わりはないだろう。
その中からあえて制度変更案の長所を探すとすれば、区分オの住民税非課税層のうち40パーセント近くの人が従来よりも負担が軽くなる可能性がある、というところだろうか。













