情念と怨念が渦巻く「戦後最短選挙」
高市総理が1月23日に衆院を解散する。1月27日公示、2月8日投開票という日程も決まった。解散から投開票までは戦後最短の16日間の戦いだ。高市総理が笑うのか、立憲・公明の「中道改革連合」が一泡吹かせるのか。決戦の火蓋(ひぶた)が切られた。
「不安定な日本政治の現状、永田町の厳しい現実を痛いほど実感した」
1月19日の総理大臣官邸。高市総理は衆院解散を表明する記者会見に臨んだ。官邸1階のプレスルームでは、通常は水色の背景カーテンが「深紅」に衣替えされていた。
深紅のカーテンは今から約20年前の2005年、小泉純一郎総理が「郵政解散」を仕掛け、決意表明をした際の色だ。小泉氏は当時、こう述べた。
「約400年前、ガリレオ・ガリレイは、天動説の中で地球は動くという地動説を発表して有罪判決を受けました。そのときガリレオは、『それでも地球は動く』と言ったそうです。私は今、国会で郵政民営化は必要ないという結論を出されましたけれども、もう一度国民に聞いてみたい」
「演出は小泉さんの郵政解散を意識した」
当時、衆院をかろうじて通過した郵政法案は、党内の「抵抗勢力」によって阻まれ、参院で否決された。万策尽きたかと思いきや、小泉氏は参院で否決された法案の是非を問うとして、衆院解散という「勝負」に打って出た。この会見で強烈な熱量を伝えた小泉氏は地滑り的な大勝利を遂げ、政権基盤を盤石にした。
少数与党として脆弱な政権基盤に苦しんできた高市氏が、会見で吐露した本音が「不安定な日本政治の現状と永田町の厳しい現実」というフレーズだろう。
高市総理周辺は言う。「演出は小泉さんの郵政解散を意識した。ただ、原稿自体は高市総理が直前まで自らペンを入れていた」
小泉氏は会見直前にビールをグラスに2杯ほど飲んで臨んだという。準備というよりは、鬼気迫る覚悟を熱量に乗せて伝えた。対する高市氏は、周囲が「小泉劇場」の再現を狙ったものの、やや政策説明が冗漫になってしまった感は否めない。
「良くも悪くも、政策を真面目に伝えたいという高市さんの性格が前面に出てしまった。それでも『進退を懸ける』と言い切ったのだから、十分だ。『高市総理を選択する選挙』にするという狙い通りになった」
高市氏の側近はそう総括する。













