母の願いに背中を押され、婚活アプリへ

二人姉妹で長女の今野さんは、30代の時に5年間交際した男性と別れた後は、結婚や出産に対してそこまで本気で考えていなかった。

妹はすでに結婚して子どもがいたため、「妹に子どもがいるし、親は孫の顔は見ているから私は独身でもいい」と思っていた。しかし、母親から「ソロウェディングドレス姿でもいいから見たい」「子どもの顔が見たい」という言葉を度々聞かされ、その願いに応えたいと思うようになったという。

最初はオンラインの結婚相談所に登録をするも良縁に恵まれず、「男女ともに有料で真剣交際を目的としたユーザーが多い」とされる婚活向けマッチングアプリに登録。2023年5月に会社員男性の佐藤(仮名、45歳)と出会う。

佐藤は女性向けヘルスケアサービスを展開する会社の社員で、見るからに誠実そうな容姿だった。今野さんは言う。

今野さんと独身偽装男性の佐藤(写真/今野さん提供)
今野さんと独身偽装男性の佐藤(写真/今野さん提供)
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「佐藤が勤めていた会社のサービスは私自身も利用したことがありますし、女性なら誰もが知る会社です。いま思えば、その会社名も信用材料のひとつでした。

マッチ後に『仕事の忙しさと長い間の片思いで結婚のチャンスがなかった』という言葉も信じて疑わなかったし、なにより既婚者なのに真剣交際目的の男女のための有料アプリを使うとは思わなかったです」

今野さんはマッチングしてから1か月後の6月に佐藤と初めて直接会い、3回目のデートで佐藤から「交際しよう」と告白された。佐藤は今野さんの「自宅に行きたい」という要望にも応じ、「妹と同居しているんだ」などとウソをついて今野さんを自宅に招き入れる。

「港区の共同住宅の2LDKで、金曜の夜に行きました。その時は知る由もないですが、私より一回り上で佐藤より7歳上の奥さんと一緒に暮らす部屋だったんです。彼は奥さんと一緒に寝ているであろうベッドで避妊なしで性交渉を求めてきました……」

「ずーっと片想いだったから、結婚できなかったんですよ~」と佐藤がウソをついたLINE(写真/今野さん提供)
「ずーっと片想いだったから、結婚できなかったんですよ~」と佐藤がウソをついたLINE(写真/今野さん提供)

今野さんは翌日に用事があったため午前中に帰ったというが、佐藤は「予定がないなら夕方までいてよ」と言っていたという。また、書斎に飾られた家族写真を堂々と見せて「これが妹でこれが親戚の女性で…」と説明をしたというのだ。

「奥さんの顔なんて知るわけがないので、聞いたままを信じこんでしまいました。彼がシャワーを浴びている間も『家の中とかどこでも見てもいいよ』とか『靴とか服とか気に入ったのあったら持って帰っていいよ』とまで言っていました。そこまで言われて、まさか既婚者だとは私も思いもしなかったのです」