国際ロマンス詐欺の恐るべき2次被害
「国際ロマンス詐欺」で大金を詐取された被害者たちは、借金返済という重荷を背負いながらその後の人生を歩むことになる。それだけでなく、恋愛感情を抱き、信じた相手に裏切られたショックから、人間不信という“2次被害”にも陥る。やり場のない怒り、悔やんでも悔やみきれない思い、不注意に対する自責の念……。
ネガティブな思考による負のスパイラルから、多くの被害者はなかなか抜け出せない。そんな被害の実態をまとめた『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)の著者で、ノンフィクションライターの水谷竹秀氏に話を聞いた。
ーー国際ロマンス詐欺の被害に遭ったと気づいて以降、被害者たちはどんな行動を取っていますか?
水谷(以下略) 被害者にもよりますが、私が取材をした方々は、警察か法律事務所に駆け込みますね。警察では被害届を出しますが、現状の捜査環境では犯人の特定はおろか、被害金が回収されることはほとんどありません。これにも2パターンあり、銀行口座に振り込んだ場合は口座の凍結によって回収できる可能性はありますが、大半は犯人にほとんど引き出されており、たとえ回収できたとしてもごくわずかです。
これに対して、暗号資産を購入し、犯人が指定するアドレス(銀行口座のようなもの)に送付した場合は、専門の弁護士によると、被害金が回収されることはありません。アドレスを追跡していけば、犯人の口座がある暗号資産取引所の特定はできるのですが、取引所が犯人の口座情報を開示してくれないので、差し押さえができないためです。しかも取引所の多くは海外にあるため、開示はなおさら難しくなります。