不動産仲介業者は「早くも問い合わせが。これが流行れば…」
「さっそく問い合わせが来た。これが流行れば、東京の不動産マーケットを根本から変える可能性がある」
湾岸エリアで不動産仲介業に従事するA氏は興奮気味にこう話す。「これ」とは、住信SBIネット銀行が6月1日に発表した「ハイブリッド型の住宅ローン」だ。
ハイブリッド型の住宅ローンの最大のメリットは月々の支払い負担の小ささだ。債務のうち、返済しなければならないのは担保評価額の50%に相当する部分のみ。
残りは利息だけ払えばよいという仕組みだ。仮に1億5000万円のタワマンを購入した場合、月々の元本返済は7500万円分だけで済む。
金利が0.35%上乗せされるとはいえ、その効果は絶大だ。仮に金利1.35%の35年でこのローンを借りた場合、月々の返済額は31万円程度。これが通常の住宅ローンだった場合、月々の返済額は42万円となる。実に月々10万円以上の差が生まれることになるのだ。
「これまでサラリーマンの予算の上限は1億5000万円程度だったが、このローンが普及すれば、2億円まで上がるかもしれない」とA氏は話す。
ハイブリッド型を使えば、2億円のタワマンを購入しても、月々の返済額は42万円で済むことになる。
近年の日本の不動産市場を振り返ってみると、マンション価格の上昇は、住宅ローンが牽引してきたといっても過言ではない。借入額が増えれば予算が増え、それに伴い価格も上がるというサイクルだ。
年収の上昇ペースよりも遥かに高い勢いで都内のマンション価格が上がっていた背景には、住宅ローンを使ったレバレッジが効いていた証拠にほかならない。
住宅ローンが起点となる価格上昇の起爆剤となったのがペアローンだ。
「若い世代は当たり前のように50年ローンを組む」
かつての「夫が外で働き、専業主婦の妻が家庭を守る」という昭和型のモデルが崩れ、妻もフルタイムで働くようになったことで夫婦で住宅ローンを借りる家庭が増加。
住宅金融支援機構の調査によると、4人に1人(25.9%)がペアローンを利用しており、2人分の収入をベースに借入額を増やす収入合算と合わせると、既に4割近くの人々が夫婦でローンを使っている計算となる。
また、50年ローンも同様に人々の不動産購入の予算を押し上げた。同調査では、すでに35年超のローンを借りている比率は25%を超える。「若い世代は当たり前のように50年ローンを組んでいるし、50年ローンを使わなければ湾岸エリアのタワマンは買えなくなっている」とは前述のA氏。
不動産経済研究所によると、5月に東京23区内で販売された新築マンションの平均価格は前年同月から15.9%上昇し、1億6286万円となった。13か月連続の1億円超えで、過去2番目の水準だという。
かつての「高嶺の花」だった億ションはいまや当たり前の光景となったが、これも給与所得が急に増加したわけではなく、ペアローンと50年ローンによってサラリーマンの「借りる力」が増加したことによってもたらされたものだ。今回のハイブリッド型のローンは、これに続く武器となる可能性がある。













