面会室に現れた武田被告は……
昨年10月に発覚した、被害総額3億円にも及ぶ結婚詐欺事件。主犯は自らを経営者と偽った“頂きオヤジ”こと江尻被告で、武田被告は江尻被告の秘書役として女性らの前に度々現れ、LINEなどで女性たちと密に連絡を取り合う役だった。
武田被告は江尻被告を「社長」、女性らを「姫」と日ごろから呼んでおり、江尻被告が女性らから金銭を騙し取る小芝居に加担したり、詐欺を疑う女性の対応もしたりしていたという。
武田被告は現在、名古屋拘置所に勾留されている。面会室に現れた武田被告は顔色も良く、穏やかな様子で記者のインタビューに応じた。
――江尻被告と結婚詐欺を始めるきっかけは何だったのでしょうか。
江尻被告とは出身が同じ長野なんです。まず江尻被告の息子さんと自分が知り合いました。その後、息子さんを通し江尻被告を紹介されました。高卒で土木会社に就職しましたが、雪が降ると仕事がなくなり収入が安定しなかったんです。そんな時に江尻被告から「神奈川で一緒に仕事をしよう」と誘われ、神奈川に移住しました。でも仕事らしい仕事がなく、僕はいったん、長野に帰ったんです。
その後、再び江尻被告の息子さんや江尻被告と再会し、まず江尻被告が名古屋に移住し「一緒に仕事をやろう」と呼び出されたんです。そうして始めた“仕事”が、今回の詐欺事件に発展しました。僕が29歳の時です。
――その“仕事”とはなんでしょうか。
江尻被告がアプリで女性と出会い、その女性から金を借りる仕事です。「俺が社長でお前が秘書だ」という設定で、女性と会っている江尻被告の送迎や女性宅への送迎、女性と会う日のスケジュール管理を行ないました。また、ある程度女性からお金を搾り取った後は、江尻被告は連絡がとりづらい状況を演出していたので、女性からのLINEや電話の対応を僕が行なっていました。
――それは仕事ではありませんよね。どうして仕事だと思ったんですか。
名古屋に移ってから江尻被告に衣食住のすべてを面倒見てもらってる状態でしたので、江尻被告から頼まれることは仕事だと思っていました。