世界を震え上がらせた「実力」

「いくら米軍の特殊部隊が手練れでも、重警護下の外国大統領をこれほど簡単に拘束はできない。政権内部に相当な上位レベルの内通者がいたはずだ」

自衛隊のレンジャー部隊を指揮した経験のある陸上自衛隊の現役幹部はそう分析する。

トランプ大統領は、拘束され護送されるマドゥロ氏の写真をSNSに公開。3日午前中には勝利宣言の記者会見を開き、「平和は力によってもたらされた」と勝ち誇った。

ベネズエラのマドゥロ大統領
ベネズエラのマドゥロ大統領

トランプ氏は当初、ベネズエラへの介入理由として「米国への麻薬流入阻止」を挙げていた。しかし、拘束後は「ベネズエラの石油は私が管理する」と言い放った。

露骨な資源管理と近隣諸国への挑発

さらに、キューバに対しては「ベネズエラの石油に頼っていたが、もうそれは手に入らない。放っておいても崩壊するだろう」と敵意をむき出しにした。

コロンビアのペトロ大統領を念頭に「彼はコカインを作ってアメリカに売るのが好きな病気の人だ」と挑発し、記者団から「攻撃するのか?」と問われると「それは良い考えだ」とまで言ってのけた。

トランプ氏はグリーンランドについても「(資源と国防上)必要だ」として、軍事的なオプションを排除しない姿勢を見せつけている。

「私たちは、力(強さ)によって統治され、暴力によって統治され、権力によって統治される世界に住んでいるのだ」

これは1月5日、トランプ大統領の最側近、スティーブン・ミラー大統領補佐官がCNNのインタビューで放った言葉だ。日本や欧米諸国が守ってきた「法の支配」という戦後の国際秩序を完全に否定する宣言だった。

「国際法による支配」から「力による支配」へのパラダイム転換。その最大のターニングポイントは、昨年末に米政府が発表した「国家安全保障戦略(NSS)」だ。

一言で言えば、アメリカによる世界中への関与を整理し、アメリカの「お膝元」である西半球(南北アメリカ大陸とその周辺。グリーンランドを含む)を最優先するという宣言である。

米国内では現代版の「モンロー主義」とも称される。