病気の再発を恋人に伝えると…

まさに満身創痍のもりひさんだが、驚くことに昨年12月には初の単独ライブを大阪で開催。チケットは即日完売。配信でライブを視聴した人数は、なんと6600人超え! ともにステージに立ったバンドメンバーは全員、旧知の友人。大好きなマカロニえんぴつのカバーほか、オリジナル曲を含め8曲を披露した。

そんな大盛況のライブのラストを飾ったのはもりひさん作詞・作曲の『ナカナイカノジョ』だった。

「実はあのころ、ヘモグロビンの値が、成人男性の半分くらいで結構フラフラだったんです。でもそれを感じさせてしまったら、お客さんやバンドメンバー、支えてくれた人たちを心配させてしまう。

本当に死ぬ気でやろうと思いました。日本一、死ぬ気でやったライブだったかもしれないです(笑)。みなさんのおかげで歌いきれました。家族や彼女も会場で見守ってくれて」

ボーカルも担当するライブでのもりひさん(写真/本人提供)
ボーカルも担当するライブでのもりひさん(写真/本人提供)

ギターを触り始めたのは、症状が落ち着いていた高校生のとき。音楽で生きていくことへの憧れもあったが、幼いころから闘病生活を送ったもりひさんにとってのヒーローだった鍼灸師の道を選んだ。彼女との出会いは、鍼灸専門学校。付き合って3年になる。

「ずっと彼女は作らんとこうと思っていました。病気のことで辛い思いをさせるのは嫌だから。でも、彼女と付き合い始めたのはいちばん症状が落ち着いていたとき。最初から『結婚しよう』と思っていたんですけど、がんが再発してしまって……。

その直前まで、自分としては治ったつもりだったから、『今まで支えてくれた人に恩返しをしていきたい』と思っていた最中の出来事で。母や父、親戚などに再発を伝えると、やっぱりみんな、そろいもそろって泣くんですよ」

近しい人たちの涙を見てきたもりひさんは、彼女にも再発と家族の涙を伝えた。その時のことを優しい声色でこう語った。

「『私は泣いてないねんから、前を向いて頑張りや』って言ってくれたんですよ。

そのときの感情をありのままに書いた曲が『ナカナイカノジョ』なんです。彼女、本当は泣き虫なんですよ。でも、僕が弱っているときだけは本当に強い女の子でいてくれて。たぶん、僕にそんな言葉を投げかけてくれる人は、世界中探しても彼女しかいないと僕は思っています!