いじめにあっていた学生時代
東京・池尻大橋の駅からほど近い場所に佇むバー『YABEKE(ヤベケ)』。ドアを開けると、「いらっしゃいませ!」と矢部さんが明るく迎えてくれた。
オープンしたばかりの時間帯にもかかわらず、次々とお客さんが入ってくる。矢部さんが常連客の男性に「今日、取材があるんですよ」と声をかけると、「お姉さん、何か飲みなよ」と、記者を気遣ってドリンクをオーダーしてくれるお客さんも。
──アットホームなお店ですね。何年くらいやっているんですか。
矢部(以下同)2010年にオープンしたので、今年で16年になります。基本は文子ママとアルバイトの女の子の二人体制で、私は顔を出せるときに出勤する感じです。
お酒は強くないので、そんなにたくさん飲めたりはしないですが、ハロウィンやクリスマスはコスプレをしたり、お誕生日にはドレスを着てお店に出ることもあります。喜んでくださるお客さんもいるんですよ(笑)。
――矢部さんといえば、15歳のときに雑誌のグランプリ受賞をきっかけに芸能デビューし、アイドル、グラビア、バラエティと幅広く活躍されてきました。
実は学生時代は、いつも下を向いて歩いていて、暗くて何もしゃべらない子だったんです。そんな私のことを“矢部菌”なんて呼んで、コソコソと陰口を言う子もいて。学校の椅子に『バカ』とか『死ね』と書かれたり。
先生も、きっと気づいていたはずなのに何もしてくれなくて……。親にも言えなくて、全部ひとりで抱え込んでいました。
学校にも家にも居場所がなく、自死を考えたこともありました。あの時は、本当に苦しかったんですが、私がオーディションに受かって雑誌に載った途端、全員が手のひらを返したように急にちやほやしてきたんです。
――どんな風に?
それまで陰口を言っていた子たちが、「芸能人のサインもらってきてほしいなー!」なんて、まるで友達みたいに話しかけてきて。正直すごく驚きましたし、複雑な気持ちでした。その後、芸能界デビューしたら自然といじめはなくなりましたね。












