「いくら儲かったって、好きじゃなきゃ続かない」
東京の隅田川沿いにある東武スカイツリーライン・鐘ヶ淵駅。そこから下町情緒あふれる街並みを5分ほど歩いた先に見えてくるのが、自転車修理店「石井サイクル」だ。
「自転車をいじっているときが一番楽しいんですよ」
そう明るく語るのは店主の石井誠一さん。103歳となった今でも現役を貫き、34年前に妻の千恵子さんを亡くしてからは、たった一人で店を切り盛りしている。
石井さんは1922(大正11)年5月に東京・神田で3人兄弟の長男として生まれた。同い年の著名人では今は亡き、漫画家の水木しげるさんや小説家の瀬戸内寂聴さんなどが名を連ねる。
「昔から自転車の修理を見るのも、いじくり回すのも好きだった」という石井さん。高等小学校を1年で中退し、13歳のときに「手に職をつけよう」と自転車修理の道に飛び込んだ。
しかし、2年後の1937(昭和12)年に日中戦争が勃発。1943(昭和18)年には中国に出征し、敵軍の補給路を断つべく夜間に銃撃戦を繰り広げる日々を送った。終戦後、捕虜となり日本に帰ってきたのは、終戦から約1年経った1946(昭和21)年6月。工場勤務などを経て、再び自転車修理業に舞い戻った石井さんは、1956(昭和31)年にこの地で「石井サイクル」を開業した。
「工場勤務は全く向いてなかった。そのとき『やっぱり俺は自転車屋だな』って思ったんだよ。いくら儲かったって、好きじゃないと続かない。自転車修理は俺の天職なんだ」(石井さん、以下同)















