6歳で関東大震災を経験、人生で一番良かった時期は「20代」

#前編

今年11月10日に御年109歳の誕生日を迎えた箱石シツイさん。第一次世界大戦中の1916(大正5)年に栃木県の農家の家に生まれ、6歳のときには関東大震災も経験した。

栃木県でも最大震度5を観測した“大正の大震災”を箱石さんは今も忘れない。

「あのときは実家の敷居に腰かけてお手玉をやってました。そしたら大きな揺れに襲われて、あちこちで地面が割れた。近所の人が『割れ目に落ちると死んじゃうぞ。危ないから早くこっちに来なさい』と言って、迎えに来てくれて、それで急いで竹藪に駆け込んだおかげで助かりました」(箱石さん、以下同)

その後、14歳で上京し、6年間の下積み生活を経て、20歳で理容師資格を取得した箱石さん。都内で亀戸、銀座、四谷見附と理容店を移りながら、1939年に知人の紹介で知り合った男性と結婚。夫とともに新宿区の下落合に店を構えた。

「夫と2人で始めた店ですが、弟子もどんどん入ってきてかなり繁盛しました。2人の子どもにも恵まれて、夫もとても優しい人でした。結婚して、独立して、店が繁盛して、子どもにも恵まれた22歳からの5年間が人生で一番いい時期でした」

109歳の誕生日を迎えた箱石シツイさん(撮影/集英社オンライン編集部)
109歳の誕生日を迎えた箱石シツイさん(撮影/集英社オンライン編集部)
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