「クマとの共生なんて出来ないんだって」
いっぽうで北海道庁の関係者によると、今年、北海道庁の関係先に対して、以下のようなメールが送られてきたという。
「お前等が熊の駆除をしっかりしないからまた人が殺されたじゃねーかーよ。日本で一番危険害獣の熊との共生なんて出来ないんだってのお前等どんだけバカなんだ? 絶滅させろって種を残したいなら適当に檻の中で管理しろよいい加減にしろって無能集団が!」 (原文ママ)
また、“クマ擁護派”からはこんな電話も受けている。(カッコ内はおおよその通話時間)
「なんでもかんでもクマを殺すな。 クマを山に返すべきだ。 里山を復活させるべきだ」(約5分)
「動物たちは意味があって生きている。麻酔で眠らせて動物園に送り、 その姿に癒やされるべき。 クマを殺さないでほしい」(約10分)
「クマを殺すのはかわいそう。 動物の命を何だと思っているのか。 殺すのではなく、 山へ返せば良い」(同じことを話し続け、約30分)
ある関係者は、「こういった電話はこちらから切ることができません」と苦しい胸の内を明かす。
東北地方のある猟友会は“クマ擁護派”の動きについて、こう解説する。
「抗議の電話なんて今日始まったことではないですよ。クマの駆除については1980年代から抗議が出始めました。当時は、猟友会に直接訪れて『なんでクマを殺すんだ!』と怒鳴り込んできたりしていましたが、こちらとしても駆除する必要性をきちんと話し、説得していました。
現代になって、発信する方法が変わって、『猟友会は自由に動物を殺している』などのデマも広がっているのか、すぐ調べたらわかるのに何も調べないで一方的に匿名で電話や手紙などで抗議してきます。
ここ最近では1日10件は必ず苦情の電話がきますが、『まあまたか』という感じで対応しています」
クマによる被害は深刻で、今後も被害者が多く出る恐れがあると見込まれている。役場や猟友会、そして自衛隊もクマの対応に追われる中、さらにクレームの対応にも追われなくてはならないのか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













