ものまね芸の“公認”問題

橋幸夫さん通夜での騒動後、RYOは自身のXで「報道陣関係者の皆様に勘違いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした」と謝罪コメントを発表したものの、この事件を受けて“ご本人“であるATSUSHIは、「正直ナメてるなと思いました」「僕の公認という人はいません。過去にいいよと言っていたのなら解除」と自身のライブ配信で発言したという。

橋幸夫さん通夜の弔問に訪れたEXILE・ATSUSHIのそっくりさんでものまね芸人のRYO (写真/共同通信社)
橋幸夫さん通夜の弔問に訪れたEXILE・ATSUSHIのそっくりさんでものまね芸人のRYO (写真/共同通信社)
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RYOは、2024年1月に営まれた電撃ネットワーク・南部虎弾さんの葬儀の場でも迷惑行為を働いたという過去もある。海外では金正恩のそっくりさんであるハワードXやトランプ大統領そっくりさんのデニス・アランなどが、各地に現れて物議を醸すことはあるが、彼らは自らを「風刺モノマネ」と位置づけ、政治への関心を喚起する意図を掲げて活動している。

一方、RYOは日本のアーティストのそっくりさんであり、そうした要素は見出しにくい。むしろ、ATSUSHIの苦言に対して「ATSUSHIさんがファン向けの配信にて僕のことを『舐めてると』言った様ですが、そんな言葉を公の場で言うのはやめて下さい」と反論していることから、“迷惑系インフルエンサー”といった文脈で見るほうが理解しやすいだろう。

RYOは過去の共演経験を引き合いにATSUSHI からの“公認”を名乗っていたが、そもそも、ものまね芸人の「公認」には実効性がない。2007年に、矢沢永吉のものまね芸人・石山龍大(石山琉大)が自らのサイトに掲げた「矢沢永吉が唯一認めたものまねタレント」の文言に矢沢サイドが抗議し、石山が損害賠償を求めて逆提訴するまで泥沼化した事件があった。

その際に東京地裁の裁判長は「一般視聴者の評価は、芸がどれだけ似ているか、面白いかにかかる」とし、「本人が“唯一認めた”か否かで社会的評価は左右されない」と述べている。

ちなみに、矢沢永吉のそっくりさん界隈では、同じく2007年に矢沢永吉ものまね芸人の矢沢永作が、引退をほのめかしたサッカー・三浦知良のものまね芸人カズノコに激昂し、仲裁に入った、つんく♂のものまね芸人・つんつくの右耳たぶを噛み切るという痛ましい事件もあった。