根底にあるのは芸人時代のコント 

――猿岩石で大ブレイクした後に突然、芸能界を引退されサパークラブを経営。その後、サラリーマンを経て、現在は劇団に所属して舞台俳優と、目まぐるしく過ごされていますね。

森脇(以下、同)かつて所属していた事務所の後輩の女の子に誘われて観に行った舞台がきっかけで、今の劇団ノーティーボーイズと出会ったんです。実は猿岩石時代、電波少年の収録に行く1週間前に今の劇団の主催者・中島と劇場で会っていたそうなんです。

その頃の僕は素人同然で、中島は芸人としてトリをつとめていて、チラっとあいさつをした程度でしたが、向こうはテレビをみて「アイツらが出てるよ!」と覚えていてくれたみたいです。

そして、オファーをいただいて『畳屋バラッド』という舞台でいきなり主役をやらせてもらったんです。その作品は商店街の古い畳屋が地上げ屋と戦うというストーリーで、演じていてすごく面白かったですね。

そのときに「この劇団に入りたい!」と決意し、2021年に正式に劇団員として動き出しました。

「実は“名脇役”に憧れている」と話す森脇氏
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――今年7月に行われた舞台『騙っちゅーの!』では、詐欺師の黒幕役を演じていましたね。コメディータッチながらもラストにどんでん返しのあるストーリーでした。その演技力は、どのように磨かれてきたのでしょうか。

根底にあるのはやっぱり芸人時代のコントですよ。猿岩石を始めたときから有吉がネタを書いて、俺が一緒に立ち稽古をする。これが楽しい作業で、2人でゲラゲラ笑いながらコントを作り込んでいました。

今思えば脚本、演出、出演を一緒にやっていたんですよね。だから芸人でも役者でも、役を演じるという意味では通じるものがあるのかな。

――役を作り込むにあたり、心がけていることはありますか。

僕はちょっと卑怯かもしれないですけど、役作りをするときは“この役を誰が演じたら合うか”を想像して、その役者を頭の中でトレースするんです。

ものまねじゃなくて、その人を憑依して自分の中にイメージを入れていく作業ですね。そうじゃないと、80ページもの台本を覚えられるはずがありません。

――そういえば、猿岩石時代はツッコミという立ち位置でしたね。7月の舞台でのアドリブや、コミカルかつ鋭いツッコミも印象的でした。

役に入り込んでいればセリフを噛んでも大丈夫だと思っていて。日常生活でも噛むことはあるし、そこをどうカバーするかが勝負。怖さはないですね。実は終盤で、共演者の役名を間違えて呼んじゃったんですけど、そこもアドリブでなんとかごまかしました(笑)。

今、劇団員は13人いるんですが、みんなボケばかりで。つっこめるのは僕しかいないから、今はツッコミの人材不足ですね。