ものまね芸人が苦手な男が切り拓くものまねの未来

90年代後半にしゃべりものまねでブレイクした原口だが、現在のものまね業界は歌まねが主流になっている。

「歌まねは特にそうですが、今はより本人に近づけさせて(似ていることが)評価される時代だなと思います。でも本来ものまねって、もっと違う見せ方があったよね、と思うんです。もちろん技術として再現性は必要ですけど、その先に笑いがなければ僕は満足できない。

そこで満足できる人と、一歩、二歩先に行かないと満足しないタイプがいて。たぶん、僕や神奈月さん、キンタロー。なんかは後者ですね(笑)」

芸能生活30周年を迎えた原口あきまささん
芸能生活30周年を迎えた原口あきまささん
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かつて、活弁士や銀幕スターなど幅広いジャンルの声真似をする「声帯模写」を生み出した古川ロッパが、同じく芸人の白山雅一が始めた歌謡声帯模写を聴いて「まともすぎて、聴いていて疲れる。もっとデフォルメして笑えるようにやれ」と伝えたというエピソードがあるが、昭和初期から続くしゃべりものまねと歌まねの断絶は、今も根深いのだろうか。原口は少し笑って、意外な本音を明かす。

「そう見られがちですよね。ただ、僕に限定していえば、そもそも、ものまね芸人が苦手なんですよ(笑)。『え、そこイジったら駄目なんだ?』って、沸点がわからなくて。たとえば、河村隆一さんのものまねをする、たむたむがやっている、萩本欽一さんのものまねが僕は大好きなんです。

でも、HRF(原口あきまさロックフェス)というライブをやったときに『好きな番号を言われたらその番号に合いそうな仮装大賞のタイトルを言う』という無茶ぶり大喜利をやってもらったことがあって。

僕らは『12番、線香花火』だけで笑うのに、たむたむは考えすぎちゃって、語呂の悪い長いタイトルを言っちゃうんですね。それを僕がツッコんで笑いにしていたんですけど、終わってから袖でたむたむが『あれでよかったんですか?』『なんで笑いになるのかわからないです』って言うんですよ。

『ああ、歌まねの人とはここまで畑が違うんだな』って驚きました。最近、髪が薄くなってきたことをイジるのもNGみたいで、奥さんの沙羅に『そこイジらないでください』って止められましたから(笑)」