「被告は被害者よりおよそ30歳年上の十分な大人」

「被害者のことが好きだったのに、結局カモにされて許せなかった」

千明被告はこれまでの公判で動機についてこう語っていた。社会部記者が解説する。

「千明被告はマッチングアプリでAさんと出会った後、Aさんの勤務先のガールズバーに呼ばれ数十万円するシャンパンを注文、合計で200万ほど使った。『連絡をしたけど無視された』『付き合うのもアリと言われながらカネばかり取られた』などと公判で語っており、自身が“色恋営業の被害者”だと言いたかったのでしょう。弁護側も『被害者にも落ち度がある』『犯行は計画的なものではなかった』と主張してきました」

いっぽうの検察側は、凶器のナイフの柄にテープを巻いて準備しており計画性があったことを指摘、千明被告がAさんに馬乗りになり首や顔などに36ヶ所傷があったことに触れ、「強い殺意があった」と主張していた。

身柄を確保された千明被告(撮影/集英社オンライン)
身柄を確保された千明被告(撮影/集英社オンライン)
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そして、9月17日におこなわれた判決で福家康史裁判長は「被告は被害者よりおよそ30歳年上の十分な大人で、被害者は最終的に被告との関係を絶とうとしていた」とし、懲役19年の実刑判決を言い渡した。

「集英社オンライン」では事件発生直後、群馬県内で同居していた千明被告の母親から話を聞いている。母親は「あんな子じゃないんだよ。考えられない」と肩を落としこう語っていた。

「なんだか女の子から電話がかかって来るようになって、そうすると翌日か2日後くらいには店に行っていました。あの子はお酒飲めないんだよ。たまに缶ビール1缶を私と半分ずつ飲むくらい。しかも、身体壊してて、ヘルニアと糖尿病、肝臓も悪くしてるから薬いっぱい飲んでるの。

それでも店には週1くらいのペースで通っていました。(事件当日)はあの子は『ちょっと東京行ってくる』と言って家を出ました。そのとき、暗い感じで元気がなかった。なんかいつもと雰囲気が違ったの。寂しげな感じがした……」(母親)