女性客からSOS「走って逃げるのも危ない気がして…助けて」

きっかけの一つとなったのが、元書店員の「のしいか」さんによる投稿だ。

「本屋さんだったころ、女性のお客様に声をかけられた。『あの、本を探してるんですけど』と。良くあることなので対応してたら、『犯罪小説なんですけど、あの…今後ろに小太りのグレーの服を着た男の人がいると思うんです』」

書店で客からのSOS(画像/ Shutterstock、以下同)
書店で客からのSOS(画像/ Shutterstock、以下同)

本を探しているという話から一転、思いがけない言葉だった。考えるフリをしてちらっと視線を動かすと、確かにその男性はいた。女性は続けて、こう訴えたという。

「どこからつけられてたかわからないんです。気のせいかと思ったけど気のせいじゃないんです。走って逃げるのも危ない気がして…助けて」

のしいかさんは「その本ならありますよ! ご案内いたします!」と声を張り、女性を別の場所へ誘導。インカムでスタッフ全員に状況を共有し、警備室へ連絡を入れた。

この投稿はXで1億3000万回以上表示され、大きな反響を呼んだ。そこで改めて、当時の状況について話を聞いた。

のしいかさんが働いていた書店は、ショッピングセンター内にあり、警備員の詰め所が設けられていたという。女性から事情を聞いたのち、警備室に連絡して警備員を要請。女性にはバックヤードで過ごしてもらうことにした。

女性の話によると、その男性は、自分の股間を触りながらずっと後をついてきていたという。しかし、書店側が対応に入ったことを察したのか、その場から立ち去り、捕まえることはできなかった。

女性は何度も「ありがとう」と口にし、少しは落ち着いた様子を見せたものの、不安は消えなかった。相手が知り合いではないこと、今後も狙われるのではないかという恐怖を、帰る直前まで口にしていたという。

「通りすがりの変質者なのか、以前から付きまとわれていたのか、今後大丈夫なのか、今もきっと彼女の中で不安感は残っていると思います。派手な服装でもなく、露出の多い格好でもない、普通の女性でした。人の多いショッピングセンターで、なぜ彼女がターゲットになったのか、理由はまったく想像できません」