「営業」と「リーダーの指示」は同じ原理で動く

この法則は、リーダーシップの現場でも変わらない。「この業務、やってくれる?」と一方的に依頼すれば、部下は「やらされている感」を抱く。しかし、「この仕事を進めると、〇〇のスキルが身につくし、今後のキャリアにもプラスになるよ」と伝えれば、部下は「なるほど、それなら頑張ってみよう」と考える。

また、「このプロジェクトを成功させれば、会社にとっても大きな意味があるし、チームの実績にもつながる」と〝ストーリー〟として語れば、部下は「これは単なる仕事じゃない。チームにとっても、自分にとっても意義があるんだ」と実感を持って動くはずだ。

「何のためにやるのか」納得すれば人は動く…リーダーからの「この業務、やってくれる?」では部下が動かない理由_4
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同じ営業でも、「あなたにとってこういう素晴らしい変化がある」という提案になれば、相手は納得する。同じ仕事でも、「これをやることで、こんな未来が開ける」という物語が語られれば、部下は動きやすくなる。

リーダーが〝感動〟を意識し、部下や顧客の心を動かす物語を共有できれば、「やらされている」仕事は「これが成功すれば私たちにとっても最高だ」という気持ちに変わる。人は「何のためにやるのか」を納得した瞬間、最も強く動くのだから。

文/田尻望 写真はすべてイメージです/Shutterstock

無言のリーダーシップ 付加価値を生む仕組みのつくりかた
田尻 望
無言のリーダーシップ 付加価値を生む仕組みのつくりかた
2025/7/30
1,760円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4815628833

リーダーに「言葉」は要らない

◎ベストセラー『付加価値のつくりかた』『再現性の塊』『「キーエンス思考」×ChatGPT時代の付加価値仕事術』の著者最新作。
◎キーエンス本の火付け役である著者が、指示しなくても自然と成果が上がる「キーエンス×田尻」式のマネジメント手法を一挙公開!

成果を出すリーダーの多くは、いくつかのミーティングを除けば、部下との会話はほぼゼロである。一方、成果を出せないリーダーの多くは、口頭指示や質問などの対応に追われ、自分の仕事は定時後や休日に片付けることになる。
もし、あなたが言葉を尽くさないとチームが成果を出せないのだとしたら、それは仕組みができていない証拠だ。
「無言」になれるかどうかは、単に「しゃべる」「しゃべらない」の話ではない。
最小の時間と資本で、どれだけの付加価値を生み出せるかというマネジメントの根幹を問うテーマなのである。
(はじめにより抜粋)

[目次]
はじめに リーダーに「言葉」は要らない
序章 ここから始まる「無言」の構築
第1章 準備編:信頼と合意を築くマインドセット
第2章 問題解決編:目標達成を阻む壁を取り除く
第3章 仕組み化編:成功をくり返す、失敗をくり返さない
第4章 付加価値編:仕組みから付加価値を生み出す
終章 リーダー不要の組織へ
おわりに リーダーシップが苦手だった私がたどり着いた答え

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