学校にはノルマ化とダメ出しが多すぎる
不登校の背景は、子どもによって異なります。多くの場合、原因は一つではなく、学校での悩みごと、学校以外での悩みごとなど、さまざまな要因が関わっています。
子どもの不登校に対応するときには、その子がどのような状況にあるのかを理解していくことが大切なわけですが、一方で、不登校になる子どもが急増しているという全体的な傾向について、環境的な要因を考えていく必要もあります。
私は、学校生活にノルマ化とダメ出しが多すぎることが、不登校の環境的な要因になっていると考えています。
「入学のしおり」が厳しすぎる
小学校の「入学のしおり」で、新入生に身につけてほしいこととして、次のような項目が挙げられているのを見かけたことがあります。
・人に呼ばれたとき、「はい」とはっきりと返事ができる
・人の話をしっかり聞ける
・自分の名前や家族の名前が言える
・自分の名前(ひらがな)を読むことができる
・自分で身の回りの始末をすることができる
・自分で洋服を脱いだり着たりすることや、脱いだものをたたむことができる
このような行動を、入学するまでに家庭で教えておいてほしいという話なのですが、そう言われても、できない子もいます。大人にだって、人の話をよく聞いていない人や、脱いだ服をきちんとたたまない人がいるでしょう。
小学1年生向けの「入学のしおり」にしては、基準が厳しすぎます。
ここで挙げた項目はあくまでも一例ですが、最近の学校ではこのような行動がノルマ化していて、それができない子どもはダメ出しされることがあります。苦手なことは克服するように目標設定され、できなければダメ出しされるのです。
いまの子どもたちは、早い時期からさまざまなことのハードルをやや高めに設定されて、そこに届かないと認めてもらえない雰囲気のなかで過ごしていることがあります。
最近では、学校や学級にそのような雰囲気があり、不登校の環境的な要因となっている場合があるのです。
学校のカリキュラムは平均的な子ども向けにつくられていると言われますが、こういった例をみていると、いまの学校は平均的な子どもであっても、少し背伸びをしないと標準に到達できない環境になってきているように感じます。