発達障害は、不登校の直接の原因ではない

発達障害と不登校を理解するための視点として、最初にお伝えしておくと、発達障害は不登校の直接の原因、唯一の原因ではありません。発達障害だから不登校になる、ということではないのです。ただし、発達障害は不登校のハイリスクにはなります。

発達障害の子は、発達特性がよく理解されていない環境では、苦労や失敗を経験しやすくなり、そこに参加しづらくなっていくことがあります。学校がそのような環境である場合には、子どもが不登校になる可能性が高まります。

つまり、学校環境の条件次第では、不登校のリスクが高くなるということです。

不登校のハイリスクになる問題として、ほかにも「発達障害以外の精神障害」「家庭における虐待やマルトリートメント(英語の“mal”「悪い」と“treatment”「扱い」を合わせた言葉で「不適切な養育」と訳される)」「教師によるハラスメント」「子どもどうしのいじめ」などが考えられます。

これらの問題によって子どもが登校する意欲を失い、不登校になっていくことがあります。

発達障害は不登校の直接の原因にはならない…子どもが学校になじめないときに親ができることは「苦労や失敗を経験しやすい」環境の調整_1
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ただし、これらの問題は必ずしも不登校の直接の原因となるわけではありません。複数の要因が重なることもあります。環境的な要因もあります。不登校の対応では、なんらかの問題を直接の原因と考えるのではなく、一つの要因としてとらえるようにしましょう。そうしないと関連する要因を見落としてしまい、対応が不十分になる可能性があります。