受験して中高一貫校に入学し、不登校になった子 中学1年生 男子の場合

勉強面で無理をして、不登校になったケースを紹介しましょう。このお子さんは中学1年生の男子です。彼の場合、勉強が苦手ということではないのですが、両親から私立の中高一貫校を目指してほしいという期待をかけられ、受験勉強で無理をしていました。

彼は小学3年生の頃から、学習塾に通うようになりました。夏休みなどの長期休みにも毎日のように塾へ行って、講習を受けていました。その努力の甲斐あって、志望校に合格。そのときは本人も両親も大喜びしたそうです。

ところが中学に入ってから、授業やテストの内容が難しくて、ひどく苦労するようになりました。彼は時間をかけて勉強し、背伸びをして学力レベルの高い中学に入ったので、同じように勉強を続けなければ、ほかの子どもたちについていけなかったのです。

その結果、1学期の途中から登校をしぶるようになり、夏休み明けの2学期には学校に行けなくなりました。

〈急増する不登校児〉勉強への過度な期待とノルマが、生徒だけでなく教師まで追い詰めている令和の教育環境_3
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親や先生の期待が高すぎると不登校になる可能性も

このお子さんは、平均的な子どもよりも勉強がよくできます。それでも目標を高くしすぎると、ノルマ化やダメ出しが本人の負担となるのです。親や先生の期待していることが子どもに合っていない場合には、たとえ勉強が得意な子でも不登校になることがあります。

そして、学校生活にノルマが多くなると、子どもだけではなく先生も苦労します。先生の「教えるノルマ」も増えてしまいます。昭和40年代、小学生だった私の学校では、1年間の授業で教科書を最後まで読み終わらないことが珍しくありませんでした。教え方のペースは先生によって違い、勉強の「教えるノルマ」はいまよりゆるやかだったと思います。

最近では、教科書を終わらないという話は聞きません。先生方が教科書の内容を律儀に全部教えようとしているようです。地域差はありますが、先生の「教えるノルマ」は増えている印象です。現在の学校は「子どもも先生もつらい」という状況かもしれません。

写真はイメージです 写真/Shutterstock

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