「平均3週間で不登校を解決」「再登校率は90%以上」──。

こうしたうたい文句で、不登校児童・生徒の支援を掲げる株式会社スダチ。サイトには「顧客満足度97.8%」という数字が目立つ一方、再登校を促すことで不登校児童・生徒が拒否反応を起こし、親子関係が悪化するケースも報告されている。

このスダチが8月5日に「板橋区と連携して不登校支援を強化する」といった内容のプレスリリースを発表し、物議を醸した。

現在プレスリリースは撤回されているものの、NPOや不登校支援団体、居場所事業の主宰者、精神科医や心理士の医療職などが連盟で、区長と区教育長宛に公開質問状を提出する事態にまで発展したのだ。

不登校支援を巡り、迷走した板橋区だが、一連の経緯ではなにが問題視されていたのか。また、板橋区の教育委員会事務局ではなにが起こっていたのか。

実際に掲載されたプレスリリース
実際に掲載されたプレスリリース
すべての画像を見る

「家庭の中のボスは親」

まずは板橋区と連携をとる予定だったスダチとはなにか整理したい。

スダチは前述の通り平均3週間での再登校を掲げ、子どもと直接対峙することなく、完全オンラインで保護者に指導を行なう。

そして子どもの生活習慣を整えるため「スマホなどのデジタル機器や娯楽を制限」「1日のタイムスケジュールを厳格に決める」などのアプローチを採用している。

一方で、問題視されるのは、親子間で上下関係を敷くことを念押しされた点だ。

実際にスダチを利用した保護者によれば、たとえデジタル機器を没収された子どもが反発しても、保護者は毅然とした態度でプログラムを遂行することが求められた。

スダチのマニュアル内には、「家庭の中のボスは親・子どもの奴隷にならない」といった文言も確認できた。