「会社は僕のために何をしてくれるんでしょうか?」大手企業の採用担当者も言葉を失う
続いて話を聞いたのは、大手保険会社で採用担当をしているというAさん(40代男性)だ。Aさんの勤める会社は、新卒採用に力を入れており、最近初任給が30万円台後半に上がったという。Aさんが遭遇した“モンスター就活生”について聞いてみた。
「去年、面接に来たある就活生から『会社は僕のために何をしてくれるんでしょうか』と面と向かって言われたことがあります。あまりに唐突で、唖然としてしまいましたね(苦笑)。彼はIT系の人気企業を志望していたらしく、本来行きたい企業ではない保険業の会社の面接だったということもあって、やる気がなかったのかわかりませんが、“あまりにもヒドい態度だな”と正直感じてしまいました」(Aさん)
しかし、なんとこの就活生は今年の新卒社員としてAさんの会社に入社したそうだ。なぜ採用するに至ったのか、その背景にある事情についてAさんはこう語る。
「うちの会社は50代以上の社員が多く、あと数年で定年退職が大量に起こります。そういった事情から、20代は貴重な人材として何としてでも確保したい。さらに少子化でますます若手の人材は採用しづらくなるということもあり、言い方はよくないですが、ヒドい態度をとるような学生でも採用せざるを得ない状況なんです」(Aさん)
――令和のモンスター就活生たちは、企業にとって率直な意見をくれる存在にもなりうるいっぽうで、礼節を欠いた言動に戸惑う採用担当者も少なくない。若手人材の確保がますます難しくなる時代に、試されているのは企業側か、学生側か。
取材・文/瑠璃光丸凪(A4studio)