「とにかく早くやるべきことを済ませて解放されたかった」
竹内さんはハヤシダから職業を聞かれ、正直に「セクシー女優」だと伝えた。するとなぜか芸名を聞かれたという。この手の電話詐欺で相手が女性の場合は「身体的な特徴を確認する」と指示され、上半身を裸にされるなどの性的な被害に遭うケースもある。そのあたりは大丈夫だったのか。
「幸いにもそれは言われませんでした。でも、芸名を言ってしまったので私の裸はネット上で検索すれば出てくるし、見られたも同然だと。そしてハヤシダは『あなたの口座に犯行で使われた紙幣がないかを調べる必要があり、検事の指定する口座にお金を預けてもらう必要がある』と言いました。
その時点ですでに時間は18時。私は友人らとの約束の時間が近づき焦っていました。とにかく早くやるべきことを済ませて解放されたい思いになっていました」
ハヤシダからは「ビデオ通話中は誰ともLINEや電話はするな」と指示されており、友人らに「遅れる」という連絡もできずにいたため、余計に焦ったのだという。
「カラオケを出てATMから入金しろと言われましたが、付近に銀行のATMがなかったため、インターネットバンキングから入金することに。お金をひとつの口座にまとめ、一気にセブン銀行の個人名義の口座に振り込むように言われたのです。
その口座は検事のものとのことでした。いま考えればすごく変ですが、その時はもう早く終えて、友人らのもとに向かいたい一心で、現金200万円を指定の口座に一括送金してしまいました」
時刻はすでに19時半過ぎ。友人らとの待ち合わせ時間から30分も遅れている。急いで友人らが待つ店に向かい、事情を説明した。
「友人らはすぐに『それ詐欺だよ!』と言ってくれ、その時いた恵比寿付近の警察署に駆け込みました。でも電話をかけた場所が品川だったので『管轄の高輪署に行ってください』と言われ、高輪署に。そこから事情聴取を受け、終わったのが23時近く。どっぷり疲れましたし、とにかく落ち込みました…」