「以前は日本語がおかしいなど見分けるポイントもありましたが…」
東京都消費生活総合センターによると、東京都のコメ販売を巡る詐欺の相談件数は2024年には年間で45件だったが、2025年3月はひと月で11件にものぼったという。
「やはりおコメに関するニュースが多くなると、それにあわせて相談件数は増加する傾向にあります。詐欺にあった方の相談はいずれもインターネットでのおコメの販売でした。極端に安い価格で販売されているサイトは、事業所の住所が実在するかなど細かい点を確認するなどした方がいいでしょう」
実際に令和6年産のコメを5キロ2000円台で販売しているサイトの事業者を記者が訪ねてみると、該当の住所の番地はなく、周囲にも事業者の会社は存在しなかった。こうした詐欺サイトの手口に関して東京都消費生活総合センターが解説する。
「サイト自体は丁寧に作りこまれています。以前は日本語がおかしいなど見分けるポイントもありましたが、最近は生成AIの機能もあがっているのか日本語がおかしいということも減ってきています。なのでやはり価格が極端に安いコメは警戒した方がいいです。
3月に相談があった70代の女性は60キロ2万円という価格で販売されているサイトで頼んだとのことでした。前払いで口座にお金を振り込み、4日以内に発送されるということでしたがいつまでたっても届かない。それで記載されていた番号に電話するとまったく関係のない事業者に繋がったとのことでした」
また、こんなケースもあったという。40代の女性が30キロ9000円台というサイトを見つけ、実際に購入し指定された口座に現金を振り込んだ。すると振込後、事業者から「在庫がないので返金をしたい。銀行振込だと手数料がお客様負担になってしまうので電子マネーで返金したい。なので2次元コードを送ります」と連絡が来たという。
2次元コードをSNSでやりとりして受取り、読み込むと必要事項を記入するよう促された。また、二次元コードともに送られてきた4桁の認証番号の数字を入力すると電子マネーで女性に返金される旨が書かれていた。
女性は必要事項とともに、4桁の認証番号を入力。しかし、その認証番号は実は金額で、入力してクリックすると自身の電子マネーを送ることになってしまった。女性は2重でお金を盗られてしまい、被害額は2万円近くになってしまったという。
こうしたコメの詐欺サイトの被害は全国的にも急増している。国民生活センターによると相談は3月ごろから増加し、4月末までに200件以上の相談が寄せられた。
相談事例には「コメ10キロを送料込みで4050円をクレジットカード決済したが注文完了メールが届かないため問い合わせ先に電話すると使われていなかった」(20代男性)や、「夫が画像投稿アプリに表示された広告からコメを購入した。コメの購入代金として3899円をクレジットカード決済すると、購入商品がサングラスとなった領収書がメールで届いたが、いまだコメもサングラスも届いていない」(50代女性)など様々な手口があるようだ。
SNS上の広告が呼び水となるケースも多いとのことで、よりいっそう消費者側も気を付けなくてはならない。