ポジティブな言葉をかき消すSNS誹謗中傷の声

「僕が自分のSNSに試合に勝った報告やこんな仕事をしました、とかアップすると、コメントが誹謗中傷だらけになりました。もちろん、好意的な意見を書き込んでくれた方もいました。

だけど、そういう時って、いいコメントに対して批判する人がアンチコメントをかぶせてくるんです。そんなコメントを返されたら普通の人は恐いじゃないですか。だから、ポジティブなコメントも減っていって『逃げてる。逃げてる』って毎日のようにDMが入って、そんな言葉であふれると、自分の中で『この世の中にいる人、全員がそう思ってる』と錯覚が起きてしまうんです。

外を歩いても人の目線が怖くなりました。応援してくださるスポンサーさんとの会食でも、那須川選手と『なんでやらないの?』とか言われて、最初は『僕もやりたいです』と答えていましたが、事情を知らない人たちから『なんで対戦しないの?』と言われ過ぎて、お世話になっている方々と会うことすら嫌になってしまいました」

世紀の一戦「那須川天心vs武尊」を振り返る
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顔の見えないSNSでの誹謗中傷は、容赦なかった。そして体と心に異常が起きた。

「突発性難聴になって1か月ぐらい耳が聞こえずらくなって…その時期からパニック症みたいな症状が出てきました。

最初に異変を感じたのは、テレビの収録の時でした。スタジオで収録が始まる前に扉を締められた瞬間に呼吸ができない苦しさを覚えて…何が何だかわからないんですけど心臓がバクバクして…それ以降、その感覚が来るのが怖いと思うようになって。

特に狭い空間に入ると、どこにいても呼吸が苦しく心臓がバクバクするようになって。車の運転中も、外を歩いていても症状が出るくらいひどくなっていきました。最終的には、自宅でいつもくつろいでいる場所にいても心臓がバクバクするようになって…そのペースも早くなって1日に30回は発作が出るようになりました」