「今の時代SNSで晒される」ビジネスネームはアリ?

昨今、カスタマーハラスメント(通称:カスハラ)という言葉が広く知られるようになり、対応に悩む現場が増えている。悪質なクレーム、度を越した叱責、SNSなどを使った個人攻撃――。こうした行為の被害にあう従業員を守る手段の一つとして、ビジネスネームの導入が注目されている。

問題視されているカスハラ(画像/Shutterstock、以下同)
問題視されているカスハラ(画像/Shutterstock、以下同)

寝屋川市では今年4月より、職員が業務中に着用する名札について、庁内における「役割の見える化」や「カスタマーハラスメント防止」などの観点からリニューアルを行なった。その中で、自治体としては珍しい「ビジネスネーム」の使用を認めた。

職員のプライバシーを守り、名札の情報をもとにSNSなどで個人情報が特定されたり、誹謗中傷を受けたりするのを防ぐことで、安心して働ける環境づくりを推進している。

寝屋川市の広瀬けいすけ市長も自身のXでこの制度に言及。

《寝屋川市では現在、「市民サービス改革」を進めていますが、相手への「礼を失する行為」は、“職員から市民”だけでなく、“市民から職員”でもダメなものはダメです。厳しく対応していきます》

たとえ市民からの言葉でも、悪質なものには毅然とした態度で立ち向かう姿勢を示した。

ビジネスネーム導入には、ネット上でも賛成の声が多く寄せられている。

《これ、接客業では絶対やった方がいいよ。言われもないクレームを本名名指しでネットのレビューに書かれたらたまったもんじゃないし、人格を分けた方がいい》

《怖い人に名札をジロジロ見られるだけで脅迫されてる気がしたからなあ》

《珍しい苗字だと今の時代SNSで晒されるから、接客する人は守るためにも良いかもしれない》

一方で、導入に懸念を示す声も少なくない。

《ワイの会社、問題を起こした責任者を処分した…という建前で、対外的にはビジネスネームの別人設定でそのまま働かせていたことがあったからなあ…》

《ビジネスネームとはまた聞こえのいい響きだけど、偽名よね? 名札とか名前って「私が責任を持って」という意味合いが大きいと思ってたんだけど…》

《一億総通名時代。ニックネームでなく、氏名までやるのはやり過ぎの感がある》

では、実際に導入した寝屋川市役所では今、どのように運用されているのか。人事室の担当者に話を聞いた。