知事選で飛び交った言葉が司法の場で初めて問われる 

丸尾県議は今になって提訴したことについて「立花氏は同種の虚偽の話を複数回演説でしていましたが、『と言われています』などと伝聞形にするなどして明確に名誉棄損に問うことが難しいかとも思っていました。しかし最近になって、西宮での演説ではっきり断言していたことが確認できたので提訴に踏み切りました」と説明する。

さらに「立花さんはウソをばらまくことで社会や民主主義の基盤を壊している。その歯止めをかけ、デマの発信について責任を取らせる必要があります」と決意を語った。

6月5日、立花孝志氏を相手取った訴訟を起こし記者会見する丸尾牧兵庫県議(撮影/集英社オンライン)
6月5日、立花孝志氏を相手取った訴訟を起こし記者会見する丸尾牧兵庫県議(撮影/集英社オンライン)

「実は立花氏による奥谷県議(自宅兼事務所)前の街宣を巡っては、これを問題視した奥谷氏の記者会見での発言に対して立花氏のほうが名誉棄損だとして東京地裁に損害賠償を求める訴訟を起こしました。しかし、4月に開かれた第1回口頭弁論で立花氏側は訴えに理由がないことを認める『請求放棄』の手続きを取り、司法の判断を回避しました。

立花氏に非難された人のうち、Aさんと竹内元県議は亡くなっており、奥谷県議は立花氏の刑事処分は求め、書類送検されましたが、民事訴訟は起こしていません。

知事選を巡っては、県警が他にもSNSによる人格攻撃や虚偽事実の流布について告発を受け調べていますが、違法性の有無についての判断は出していません。ほかに民事訴訟もないと思われます。そのため丸尾県議の訴訟は、知事選で飛び交った言葉が司法の場で問われる初めての場になるとみられます」(県議会関係者)

丸尾県議は「勝訴し賠償が認められれば、必要経費を除いて全額を竹内さんの遺児育英基金に寄付します」と述べ、亡くなった竹内氏の無念を抱いて闘うと表明した。

政治の混乱が拡大し続ける兵庫県。問題の知事選の“清算”がようやく緒に就いた。

6月3日、兵庫県議会本会議に向かう斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
6月3日、兵庫県議会本会議に向かう斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班