声がかすれたら疑うべき病気
また、カラオケ好きな人が気をつけるべき病気は「声帯ポリープ」です。
別名「歌手結節」と呼ばれますが、アナウンサー、インストラクター、教師、保育士など、日常的に声を出す人にできやすい疾患です。
声帯は、のどの空気の通り道を左右から挟みこむ二枚の膜で形成され、これを震わせて声を発生し、音の高低も変化させています。日常的に歌っている人は、この膜が擦れてイボができることで、声がかすれたり、出なくなったりします。
声帯ポリープは声を出さずに安静にしていれば自然に治りますが、症状を無視してカラオケで歌い続けていれば、そのうちポリープが大きくなりすぎて手術が必要になります。ただ、それでも、声帯ポリープで死ぬことはまずありません。
しかし、声帯ポリープの症状は「喉頭がん」という悪性腫瘍の症状と似ています。つまり、本当はがんなのに声帯ポリープだと勘違いして放置すると、知らないうちに重症化してしまう危険があるのです。
喉頭がんは、ほかの悪性腫瘍と比べて、5年生存率はそれほど低くありませんが、がんはがん。早期発見、早期治療が肝心になります。統計的には、60歳以上の男性が圧倒的に多く、飲酒や喫煙が危険因子とされています。
実際、お酒やタバコをたしなみながらカラオケで歌うのが好きな高齢男性が、声がかすれてきたので「声帯ポリープだろう」と放置したら、実は喉頭がんだったというケースも報告されています。
素人判断は危険です。お酒好きでヘビースモーカーの高齢男性は、声がかすれてきたと思ったら、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
※このような危険を避けるには……
・無理をしてまで歌わない。
・心房細動の適切な治療を受ける。
・お酒やタバコはほどほどに。
文/高木徹也