「漫画家残酷物語の巻」(ジャンプ・コミックス第33巻収録)
今回は、ネタ切れに苦しむ『こち亀』作者の秋本治先生に両さんが漫画指南をし、ストーリーを進行させるという、作者とキャラクターが作中で絡むメタ・フィクション・エピソードをお届けする。
漫画のなかに作者が登場するのは、手塚治虫作品などでお馴染みだが、本作のように作者と創造物であるキャラクターが一緒になってお話を進めるパターンはあまり例がない。
ちなみに、現実の秋本治先生は、連載25周年時に刊行されたムック「Kamedas2」のインタビューで、「連載が辛いだなんて一度も思ったことはありません」と断言している。創造の苦労が皆無だったわけではないだろうが、それを乗り越えるバイタリティーを持ち、ノウハウを構築してきた努力がうかがえる。
なお、両さんは途中で『こち亀』のお話を止めて、ジェームス両津の筆名で『宇宙パイロット両さん』を描き始めてしまう。この作中作の作画は、秋本治先生のアシスタントを10年間務めた漫画家、とみさわ千夏先生によるものだ。
とみさわ先生は『こち亀』コミックス第82巻では巻末ゲストとして登場し、コメントを寄せている。また、本作に先立ち「ホップ!ステップ!ジャンプ!!の巻」(ジャンプ・コミックス第31巻収録)や「おいらは、かぜさ!のまき」(ジャンプ・コミックス第32巻収録)でも数ページ分のメイン作画を担当している。
それでは次のページから、両さんが描く(!?)『こち亀』をお楽しみください!!