トラブル続出のドイツ生活。ベルリンのホテルでは詐欺被害にも
——伊東さんはドイツに移住して約3年半とのことですが、そもそもなぜドイツを選んだのでしょうか?
「最初は、美術史が深く根付いているヨーロッパで暮らしたい」という思いがありました。
それまでドイツを訪れたことすらなかったのですが、「行ったことのない国に行きたい」という直感だけで選んだんです。
——ドイツに移住して、何か苦労したことはありましたか?
ドイツには友だちもいなければ、ドイツ語もまったく話せない状態で、どうやって生計を立てればいいのかすらわからないまま、「なんとかなるだろう」と思って移住したんです。
実際に暮らしてみると、やはり言葉や文化の壁にぶつかって、絶望することもありました。
今ではドイツ語も多少は理解できるようになりましたが、慣れるまでの最初の1〜2年は本当に大変でした。トラブルも多く経験しましたし、孤独を感じてホームシックになることもありましたね。
——具体的にどのようなトラブルがあったのでしょうか?
たとえば、銀行口座を開設するのに苦労したり、ベルリンのホテルで身に覚えのないミニバー代を請求される詐欺に遭ったり…。自宅のアパートでも、雨漏りがあったり、Wi-Fiが頻繁に使えなくなったりと、トラブル続きでした。
でも、どんなにつらくても、家族や親友には弱音を吐きたくなかったんです。
自分の中で「3年は帰らない」と決めていたので、心配されて「帰っておいでよ」と言われるのが嫌で。だから、毎晩ひとりで泣いていた時期もありました。