メイクアップの経験の実態
子どものメイクアップ経験については、これまでも多くのマーケティング調査や学術調査で扱われてきました。2018年に私がおこなった調査では※1、頻度は別として、未就学児から小学生では4割程度、そして中学生で6割、高校生で8割の子どもがメイクアップをおこなっていることが示されています。ニフティキッズのおこなった調査のデータからは、小中学生の53%がメイクアップの経験があることが読み取れます。※2
それでは、学年別ではどうなのでしょうか。調査データを見てみたいと思います。学年別にメイクアップの経験をまとめました。
全体で5割から6割の女子がメイクアップの経験をしたことがあると回答しているのが確認できます。そして、学年の差についてですが、統計的な分析をおこなうと、学年の差はみとめられないことが確認されます。
半数以上の子どもが、頻度や内容はともかくメイクアップの経験があるということが確認されました。読者の皆さんはどのように思われるでしょうか。思った以上に多いと思われるでしょうか。それとも、そのくらいかな、という感じでしょうか。
大人の読者は「そんなに多いはずがない」と思うかもしれません。子どもの読者は、「もっといるはず」と思うかもしれません。人は、身近に該当するケースがあるほど数を多く見積もる傾向もありますし、人によってこの数値のとらえ方はさまざまだと思います。
この割合について絶対的基準で多い少ないという判断をすることはできません。問題は、多いかどうかというよりも、それがどのようなことをひきおこしうるのかということかと思います。そして、どのようなプロセスで子どもがメイクアップをおこなうようになるのか、といったことも考えていく必要があるでしょう。
さて、今回のデータでは学年の差は確認できませんでしたが、これを素直に解釈すると以下のようなことが考えられます。
急激にメイクアップのおしゃれの低年齢化が進み、そしてより低年齢の子どもの方がメイクアップをおこなうという傾向が生じた可能性があります。物事は上の年齢層で行き渡ってから次の世代へと浸透していくとは限りません。下の世代で急激に広がって上の世代を追い越すこともあります。
今回のデータからは、上の世代でゆっくり浸透していったメイクアップが、下の世代で急激に広がって上の世代と同じくらいおこなうようになった、という可能性が読み取れます。とはいえ、このあたりについてはまだ資料も少ないですし、継続して様子を見ていきたいと思っています。現時点でいえることとしては、メイクアップの低年齢化がすすんでいる可能性がある、ということです。