年功序列をやめた和泉市役所が新たなモデルケースに?

「例えば、非常に平たく言いますと、40~50代でも役職についている方は給料が上がり、非役職の方については、減給したということではないのですが、もう上がらなくなりました。そうなるとやはりどうしても、上がる人からは賛成の意見、上がらなくなる人からは不満や不安の意見はありました」

ただもちろん、40~50代で現在非役職の職員が、これからも役職につけないわけではない。また、元から役職についていた人からは、役職についているにもかかわらず給与がアップしないという不満の声が以前から上がっており、今回の制度によってその不満を解消できたという面もある。

和泉市役所ではこうした採用活動の中で、若手職員に役職者を目指して働いていってほしいという思いと、既存の職員にも頑張ってほしいという思いをメッセージとして発信しているわけだ。

頑張った人が適切に評価される制度に (写真/shutterstock)
頑張った人が適切に評価される制度に (写真/shutterstock)

「今回の制度では、役職と非役職のところで明確に分けて、単純に年功序列で上がっていくわけではない方法にしたというのが1番のポイントにはなっています。また、この新制度は、給与水準そのものを大幅に引き上げたわけではなく、全体とすると、人件費を上げたというわけではないのです」

和泉市役所の挑戦は、自治体の新たなモデルケースとなる可能性を秘めている。そしてそれは、公務員のあり方を根本から問い直す改革でもあるかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部